sweet*and*sour…108 ページ8
「ちょっと。凭れたら重いってば。」
「声出すと他が起きるでしょ。」
「ご、ごめん？」
な、何で私が謝ったの…？
「椅子の背凭れ使ってよー…」
本来凭れるための“背凭れ”だ。
その背凭れを活用せず私に凭れてきた。
うぐ…重い…
「君のほうが柔らかいしね。しかも温かい。」
「もー…」
「一家に一台。どう？僕んち来る？」
「もう居る〜。」
「アハハ。そうだったね。」
揶揄って満足したのか重みが緩む。
さぞ良い笑顔なのだろうと
その顔を覗き見ると重たそうな瞼。
「眠いの？部屋戻れば？」
「どうせ部屋戻っても鼾煩いし。」
そういえば荷造りのときに耳栓持ってたっけ。
なるほど。そういうことね。
「うーん…」
一人部屋なら彼を招いてあげられるが
清子さんや仁花ちゃんが居ては無理があった。
「…」
にしても眠くなってきた彼の体温もまた温かく
私も眠気を誘われる。
い、いけないいけない！
「今二人とも寝たら大変だよ。戻ろ。」
「そうかもね。」
「ねえ蛍。頭働いてる？」
「働いてる働いてる。」
「絶対働いてないじゃん。」
「…うん。」
無防備にも彼は半分夢の中。
何度も瞬きを繰り返しては
必死に起きようと試みていた。
「ふぁぁ…」
彼の眠たそうな欠伸に釣られて何だか私まで…
「…んー？…月島達…何やってんだ？」
眠りに落ちかけたその瞬間。
西谷さんの声が聞こえて跳ね起きる。
や、やばい！！
「あ、あの、えっと、」
慌てて彼を見るともう瞼は閉じられていた。
まるであどけない子供のような寝顔。
相変わらず綺麗なお顔だけども。
――――ｶﾞｸﾝｯ、
私が驚いて体を動かしたため
均衡が崩れて彼もずり落ちる。
「…あれ…僕寝て…、…ッ！」
彼もまた目を軽く開いた瞬間
すぐに大きく目を見開いていた。
「…やっぱりお前ら…付き合ってたんだな…」
「いや、あの！これは…」
「そうじゃなくて…」
今は否定の材料になるものを持ち合わせていない。
口でいくら否定したところで証拠がないしね。
二人きりで居たのは事実だし…どうする…
「んー…」
むにゃむにゃ。
「あ、あれ…？？」
まさかの素通り…？
眠そうに目を擦っていたし
トイレに起きただけなのかもしれない。
それならギリギリ誤魔化せる…かな！？
「い、今の寝ぼけてたと思う…？」
「…さあ。そうかもね。」
「わ、私たちも部屋行こっか。」
「…そうだね。」
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作者名：愛羅
| 作者ホームページ：
作成日時：2014年9月4日 18時
