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sweet*and*sour…113 ページ13

「(久々に風邪ひいたな…)」


頭がボーっとして働かない。
怠くて動く気にもなれない。

“ そんなもの後でいくらでも言い訳すれば良いし。”


「…けほ、」


あれは本気の目だ。
流石に茶化せなかった。

小さい頃、体調を崩して寝込んだときに
必死に心配してくれた母や兄を思い出す。

本当に救急車呼ばれちゃ堪らないしね…
大人しく寝ておこう…

―――――コンコン、


「蛍?起きてる?入るよ?」


あ。本当に来た。

――――ガチャ、


「お邪魔しまー…す?」
「ぷ、何遠慮してんのさ。」
「け、蛍!起きてたの?平気?」
「大丈夫だよ。ちょっと身体怠いくらい。」


彼女の持つお盆の上には大量の諸々。
何あれ…


「お粥持ってきた。あと色々。」
「…大量だね。」
「何食べたいか分からなかったから。」


咄嗟に返事をしてしまった林檎。
ゼリーやプリンなどもある。


「…」


ただ、単純に動くのが怠い。
彼女には悪いが食べる気にはなれなかった。


「ごめんやっぱり身体怠くて食べたくない。」


腕を動かすだけでも重労働だし…
風邪は、ほら…安静第一って言うだろ。多分。


「駄目だよ。食べないと体力戻らない。」
「ただの風邪だしそのうち治るよ。」
「早く治るに越したことないでしょ?」
「…」


彼女から突き付けられたド正論に言葉を詰まらせる。

…正直反論の余地もない。
その通りだ。


「じゃあ…はい。これなら食べれる?」


僕の口の前に差し出される林檎。


「えっと…一応聞くけど何それ?」
「林檎?」
「…そうじゃなくて、その行動の意味は?」
「これなら身体は怠くないでしょ?」
「いや、まあ…そうなんだろうけどさ。」


わざわざ食べさせてもらうって僕はどれだけ重症だよ。
大病だと思ってるの??


「そのまま君の口に持って行きなよ。」
「それじゃあ意味ないじゃん。」
「…」
「自分で食べるのが怠いんでしょ?」


動くのがだるいだけのはずだったのに。
いよいよ断りづらい。

キツめのことを言って跳ね除けることも
出来ないこともないが…

“救急車を…”


「(僕の負けか…)」


純粋な厚意に抗うことを諦めた僕は
差し出された林檎に歯を立てた。


「ん。」


あ、意外と美味しい。


「どう?」
「意外と食べれる。」
「ならよかった。もっと食べて。」

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作者名:愛羅 | 作者ホームページ:   
作成日時:2014年9月4日 18時

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