5 手紙の行方 ページ11
「鍵返してくるから先行ってて！！」
「分かった。校門で待ってるからー」
「うん！！」
しかしそんな祈りが通じたのか、意外に早く、チャンスは巡ってきた。
大体一緒に下校する私たち。日直の為、教室の鍵を閉めた後に職員室に向かいながらはっと、ようやく今が絶好のタイミングだという事に気が付いた。
(あ、あまりにも渡せなさ過ぎて忘れるところだった・・・。)
校門で海人は待ってくれているだろう。人のいない今がチャンスだ。
息を飲んで鞄を開けて、その中から手探りで教科書なんかの下敷きになってしまっている“それ”を取り出し、今しかないと心の中で自分の背中を自分で押しながら一歩、また一歩と海人の靴箱へと、近づく。
・・・ドキドキと、柄にも無く心臓は大きく鳴るのが嫌でも分かった。沢山もらっている手紙の1つだ。どうせバレやしない・・・と言い聞かせてもなかなか治まってくれない。
そうして、やっとの思いでその『中村』と見慣れた名前の書かれたそいつの靴箱に手を伸ばした。
「・・・・・」
勇気を持って開いたものの、目に入ったのは、空いたスペースに置かれた、可愛い柄が入った封筒。
いわゆる、先約というやつ。
「・・・っ」
ダメだ。さすがに既に置かれている手紙の上に重ねて置くほど、図々しくはなれない。海人が手紙をもらう事・・・慣れているはずなのに驚いてしまって、力を入れて海人の靴箱の扉をパシンと閉める。
・・・だけど勢い良く閉め過ぎたのか、海人の靴箱が閉まった反動で、きちんと閉まっていなかった斜め上の誰のかも知らない靴箱がふわりと開いてしまった。
静まり返った空間の中で、やり場の無い感情をどうしたら良いか分からず下唇をかみ締める。どうしてこうも上手くいかないのか。やっぱりやめとけってことなのかな。・・・・頑張って勇気出してみたんだけどなぁ・・・。
そんなことを思いながら、いつまでもこうしては入られないと、開いてしまった、自分の視線より少し上にある靴箱へと手を伸ばした。
「千海」
けれど、右側から突然聞こえてきたその声に、頭から冷水をぶっかけられた様な気分になる。
反射的に振り向けば、今まさにぐるぐると自分の頭の中を占領していた張本人が立っていて、目が合った瞬間、思わず伸ばしていた手を引っ込めた。
「なに、してるの？」
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ymynm(プロフ) - ゆうさん» いつも感想下さってありがとうございます！とても一方的な、自己満足な作品達が、沢山の感想を貰えて、正直本当に嬉しいです！凄くモチベーションへと繋がってます！海ちゃん視点の作品是非書かせて頂きます！がっつりアプローチしてもらいましょう笑！ (2020年5月20日 13時) (
レス) id: 37ceee0e84 (このIDを非表示/違反報告)
ymynm(プロフ) - チエコさん» 読んで下さってありがとうございます！！面白いって言ってくださって最高の賛辞をありがとうございます！下さった感想を糧に更新頑張りたいと思いますので、是非また遊びに来られてください！！ (2020年5月20日 13時) (レス) id: 37ceee0e84 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう - 今回もとてもおもしろかったです。前のヤンデレ海ちゃんもかっこよかったけれどこれもこれで二人とも可愛くてすごくよかったです。個人的に海ちゃんからアプローチしていく話もぜひ読んでみたいです。 (2020年5月19日 22時) (レス) id: 41de9380e0 (このIDを非表示/違反報告)
チエコ(プロフ) - とても面白くて一気に読んでしまいました！次の作品も楽しみに待ってます！ (2020年5月18日 16時) (レス) id: e9a66ca348 (このIDを非表示/違反報告)
ymym(プロフ) - yikumiさん» 感想ありがとうございます！！いつも読んで下さっているんですかっ！？その言葉に飛び上がって喜んでます！！リクエストまで下さってありがとうございます(^^)また短編を描こうと思ってたので、続き書かせて頂きます！また是非遊びに来てください！！ (2020年5月16日 22時) (レス) id: e89709ade3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ymym
| 作成日時：2020年4月25日 3時
