感謝をこめて 〜作者登録200人突破記念〜

6　タイプの子（FKi） ページ7

“彼氏？”と聞かれるって事は、そういう対象に自分はいないって事・・・




掴まれたままの腕が痛くてたまらない。心臓が、・・・痛くてたまらない。



我慢できずに、ぽろりと雫が伝う。



・・それから留まることなく、ぽろぽろ、両方の瞳から溢れる涙が止まらない。泣くつもりなんて全くなかったのに・・・情けない。藤ヶ谷の顔が見れない。呆れられたのではないかと思うと怖くて仕方なかった。





「くそっ！」




吐き出すように零された言葉に反応する間もなく、掴まれた手を引っ張られる。ぐいぐい進んでいく藤ヶ谷の様子は窺うことができない。抵抗したかったけど、そんな元気もなくて、引っ張られたまま藤ヶ谷に付いて行った。




しばらく歩いて連れて来られたのはバスケ部の部室。椅子に腰掛けるように促され、その前に藤ヶ谷がしゃがみこむ。俯いたままの私に向かって両手が伸びてきた。反射的にびくついた頬を、大きな手が優しく包みこむ。
真っ赤になってしまった目元をゆっくりと撫でられて、やっと藤ヶ谷と目が合った。




「北山・・」



あやすような優しい声色と眉を下げたなんとも情けない表情。


「泣かないで、北山。」





そういわれてしまうと余計に涙って出て来ちゃうんだよ・・！


そう言ってしまいたかったけど、藤ヶ谷の顔を見て何とかぐっとこらえる。これ以上迷惑かけちゃダメだよね。





・・・すり、すり、と藤ヶ谷の親指が何度も往復して目元を撫でてくれる。その心地よさに目を瞑って受け入れていたら、顔を包んでいた両手が離れていって今度は腕をつかまれた。しゃがんでいる藤ヶ谷の元に引かれて、バランスを崩したところで抱きとめられる。




「ちょ・・あの・・藤ヶ谷っ・・」




まるで壊れ物を扱うように優しく包み込まれて、びっくりして完全に涙は止まってしまった。状況が上手く把握できなくて、心臓は最大級に稼働してしまってドキドキ動悸がする。落ち着かせようと息を大きく吸い込んだら、藤ヶ谷の匂いが広がってきてしまって逆効果だった。こんなに心臓が脈を打っていたら藤ヶ谷に聞こえちゃう・・・。




「これどうしたの？」


「え？た、玉にやってもらったの。」



「これも。こんな短かったっけ？」




「ちょ・・引っ張らないでっ///」





くっとスカートの裾を引っ張られて流石に焦った。危うく下着が見えそうで、慌てて藤ヶ谷の手を払いのける。

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