感謝をこめて 〜作者登録200人突破記念〜

3　俺へのご褒美（MM） ページ20

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気が重たいけど、ここまできたらヤケだ。いっそ楽しむくらいの気概を持つんだ私。



これはサプライズだ！余興だ！OGが体を張って笑いを取りに来てやったんだ・・感謝しろよチクショー。



今日、サッカー部は久々のオフらしい。私がこんな姿をしているのも、“根を詰めている後輩達をサプライズで激励してほしい”と頼まれたからだ。だけど、なかなかどうして・・・とんでもない遊びを思いつくものだ。






『まずはエースの松田元太を誘惑してきちゃって下さい！！』




先程後輩ちゃん達に言われた言葉・・・これはつまり、息抜きに思いっきり笑わせてこいってことだよな。くそっ・・・仕方がない、可愛い後輩達のためなら喜んで笑い者になってやろうじゃないか。




私を使って元太にドッキリを仕掛ける。ついでに元太の事もこの激励してやる・・・ってことでいいんだよな？



アイツもかなり根詰めてそうだもんな。今日はバカみたいに笑って、少しでもリラックス出来るといいんだけど・・・。





あっ、ターゲット、発見。





スポーツバッグを肩に掛け、体育館の方へと向かって行く大きな背中。その姿が相変わらず眩しくて、思わず目を細めた。大方の予想通り、これから自主練をするつもりらしい。・・・本当に、なんだろう。この気持ち。１年前は、当たり前に見ていた光景なのに。





・・・・あぁ、久々の元太だ。









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「・・・あの、すみません・・・」




蚊の鳴くような声とは、たぶんこういう声のことを指すのだろう。目の前を歩いていた男が、ゆっくりと振り返る。なるべく声バレしないように小さく言ったのによく聴こえたな、なんて感心する余裕はどこにも無い。心臓はバクバク言っている。



「・・・俺に、なにか用・・・ですか？」




相手は私の姿を目に留めたあと、少し間をあけてから言葉を発した。ジッと見つめられることに耐えられなくてそっと目をそらす。やっぱりこの格好おかしいのかな？事の発端である後輩達からは可愛いと言われたけど、やっぱりそんなワケないか。



それにひきかえ、こちらを振り向いた元太は、相変わらず非の打ち所が無いほど綺麗な顔をしている。久しぶりだからか、背もまたちょっと高くなったのかな？上から見下ろされて、ぎくりと身体が強張った。




・・・あ、髪、切ったんだな。すげぇ似合ってる。

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