いやよいやよもすきのうち！② (ページ28)

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熱がある大橋は勿論抵抗も出来ず、コロンと転がって。
口は尖らせたまま。
おこりんぼさんな顔をして俺をじーっと見ている。

考えてほしい。

おでこに冷えピタつけて、熱あるから目はウルウルしてて顔は真っ赤で、布団に包まれてて、口尖らせてる大橋。

正直だいっっっぶ可愛いし、これが熱なかったら思いっ切り上乗っかってあんなことやこんなことしてやりたい気持ちではあるけど。相手は病人や、そう思い自制を掛ける。

俺が悶々としている間も「じょうくんが隠し事するぅ」「俺に隠し事するじょうくん…」ってボソボソ言うてるけど無視無視。

さ、お粥作りに行ってその間にこの気持ちもおさめよう、そう思い立ち上がる、と。
立ち上がった俺の腕をぐいっと引っ張ってきた大橋。

熱あるから、力がない…はずやのに。
なんちゅー馬鹿力やねん…引っ張られた俺は寝てる大橋の上にダイブしてしまう。

「ちょっ、しんどいやろ！？重いやろ？なにしてんの」

そう尋ねると、さっきと表情は変わらずぷんすか大橋。

和「どこいくの」

「なんか食べやな薬飲めへんやろ？」

和「…俺のことおいてくの？」

「大橋はしんどいねんから寝とかなあかんやろ？」

和「いややぁ…ひとりにしやんといてぇよ…」

「かわ……、」

和「かわ？」

「あー、ほら、熱はやく下がらな、かわいそうやから！大橋が！」

和「…じょうくんずっとここおってくれやないらん…」

駄々をこねまくる大橋。一瞬可愛すぎて可愛いって言いかけてしまったけどなんとか誤魔化せたやろ…？

そんなことより、この体勢が俺にとって非常に良くない。

「食べた後はずっと隣おるから、とりあえずなんか食べよ？な？」

そう言って頭を優しく撫でると納得はしてない感じやけど腕を掴む力が緩くなったから我慢する、の合図だろう。

起き上がろうと大橋の顔の両サイドに手をつき、体を起こそうとすると。

大橋が俺の顔を両手で包み込んで、自分の顔に引き寄せた。

ずっと尖っていた大橋の唇は、俺の唇、ではなくて少し上の鼻先にちゅっ、と軽く触れる。

和「はやくもどってきてなぁ…？」

もう、なんて恐ろしいぐらい可愛い生き物なんや。
頭を抱える程可愛い。

はやく、一刻もはやく熱が下がって元気になってこの俺の下心を満たしてもらわな！なんて最低な考えをしてしまうのも仕方ないだろう。

お粥を食べた後もずーっと俺の手を握って寝た大橋の唇に、軽くキスをして俺も眠りに落ちた。

fin.