いやよいやよもすきのうち！② (ページ14)

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「昨日、けんとの家行ってたんや…」

丈「…うん、前から約束してたから。」

「知らんかった…」

丈「わざわざ言うことでもないかな、と思って…」

「用事あるから、ってそんな言い方しやんとけんとと遊ぶねんって言ったらよかったやん…けんとと遊ぶって俺に言いたくなかったん？」

「毎日連絡してるとかそんなこと俺聞きたくないし。俺の連絡返してくれへんこともあんのにけんとにはちゃんと返してるんやな。」

「けんとに構われて嬉しそうな顔して、俺がどんな顔で1人でおるかも知らんとさ。こっちなんて見向きもせんし。楽屋出て行かな気付かんねんや。」

さっきまで思ってもなかったことが次々口から溢れて止まらない。こんなことを言いたいんじゃない。
じょうくん見てよ、困った顔してる。
困らせてどうすんのよ。違うやろ。そんな考えとは裏腹にじょうくんを困らせる言葉しか出てこない。

「けんとけんとって。けんとばっかり。」

止まれ。もう止めないと、終わっちゃう。
終わりたくないくせに。
自分がじょうくんいないと何もできひんこと1番分かってるくせに。

棘のような言葉と一緒に冷たい涙が溢れて止まらない。
じょうくんの唖然とした表情が怖くて、どうせ何言ってんのこいつって思ってる。
もう何も言うな、そう心の中で頭の中で唱えても言葉は止まってくれない。

「もう俺のことなんか好きじゃないんやろ？」

「やったらさっさと捨ててよ…もう俺なんか好きじゃないって言ってよ…」

その瞬間。
大好きな香り、大好きな体温に包まれた。

丈「ごめんな、不安な気持ちにさせててんな。好きじゃないって思わせてたって、ほんま俺何してんねんな。ごめん。」

さっきより強く、ぎゅっと抱き締められ、俺はなんてことじょうくんに言ってしまったんやろう、って後悔。

丈「言わな伝わらんよな、俺には和也しかおらんし、好きな人は和也だけやで？不安にさせてごめんな？」

体が離れたかと思うと真っ直ぐな瞳に見つめられ、「許してくれる？」なんて尋ねてくるじょうくんはせこい。

「…俺も、ごめんなさい…」

そう答えると「和也が俺のこと好きでたまらんってことが分かったから、俺は嬉しかったで」ってにこっと笑うじょうくんには一生勝てないな、と思った。

「そんな顔で撮影できんの？」
「うわぁ〜めっちゃぶさいくなってるぅ」
「冷やせ冷やせ〜」
「目も顔もパンパンやぁ…」

fin.

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