いやよいやよもすきのうち！ (ページ13)

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ソファからひょっこり出てきたのは顔を真っ赤にした大橋。

「え、おまえいつからそこおったん？」

焦りすぎて絞り出した声で質問すると

和「いや、ここで寝ててん…ほんなら声聞こえたから丈くん来たんやと思って起き上がろうとしたら俺がまだ来てないとかって言うから…なんかドッキリ仕掛けるんかなと思って出れんくなってもーて…」

目線をキョロキョロさせながら、かなり動揺してる大橋。
こんなときにこんなこと思うのまじでないねんけど、ほんまかわいい。

「話聞いてた？」

俺の問いかけに
更に顔を真っ赤にして目を潤ませながらコクリと頷く大橋。

あーーー終わった。
こいつらほんまやってくれたな。

ギロリと睨みつけると

恭「俺トイレいってきまーす」
正「え、ちょっと、じゃあ俺もー」

とそそくさと楽屋を出て行きよった。
ほんま覚えとれよ…

ほんでこの状況どうするよ…もう聞かれてもーたんなら言うしかないよな…

「困らせてもーたな！ごめんな！」

和「え、いや、全然！なんか盗み聞きみたいになってもーてごめん！」

「まぁ、そういうことやから！けど気にしやんといて！今まで通りで大丈夫やから！」

大橋も気まずいよな、と思ってそれだけ伝えて楽屋を出ようとしたとき。

和「ちょっ、…と、まって。」

腕を掴まれて振り返ると顔を火照らせて視線のやり場に困ってる大きな瞳。

和「今まで通りで…って言われても…無理やねんけど…」

まぁせやんな、そらそうやわ。

「せやんな…ごめんな？」

和「ちゃう、ごめんとかそんなんを聞きたいんじゃなくて…！」

俺の腕を掴む手が震えてるのが分かる。
どうしたらいいんやろ。
どう言うのが正解なんやろ。
いろんな考えが頭の中をぐるぐるぐるぐる渦巻く。

和「そういうことやからって…どういうこと？言葉で言われな俺分からんよ…？」

バッチリ目が合った。
その目はすごく真っ直ぐに俺の目を捉えていた。

「…大橋が好き。」

普段つっかえる言葉がすっと出てきた。
伝えたらだめだと思ってしまいこんでた言葉。
ずっと合わせていた瞳からは大粒の涙が溢れた。
また困らせてしまったな。
どうやって謝ればいいんやろ。

そんなことを考えていると

ぎゅっ

大橋の香りが、大橋の体温が俺を包んで

その体温が余りにも温かくて。

和「やっと言うてくれた。俺も大好きやで。」

俺の瞳からも大粒の涙が流れた。

fin.