ウェデングベルが鳴り響いて_Takanori.I

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「お父さん、今、暇？」

「ん、大丈夫だよ」

「ここ、…教えてほしい」







君が高校2年生の冬。

もうそろそろ次の進路を決めなきゃいけないなって時。







「えっと…」







現役学生の君と、勉強とは20年近く疎遠になった俺。







「最後にこれと、これを引いたら答えになるでしょ？」

「あ！分かった」

「そう？よかった」

「ありがとう！助かった〜」







でも俺もまだまだ現役に負けてないかな。
って、勉強教えたりするのも、あと1年しかないんだな。
なんて少し寂しい気持ちになった。









「りっちゃん進路どうするの？」

「大学行くかな〜、迷ってるけど」








元々、ほとんど全員が大学に行くような高校だし
君ももちろん大学に行くんだろうなって思ってたけど
少し迷ってたみたい。









「翔くんは？」

「あー、わかんない」








こっちの方もずっと上手くいってるって
わけでもないみたい。









「なんで？」

「翔とその話しようとしたら嫌がるんだもん、
ほんっと意味わかんないよね。
翔と同じところ行きたかったけど、
曖昧に返されるから嫌になっちゃった、笑」









進路で迷ってた原因はこれか、って親心で。




俺も俺で翔くんは小学生の頃から知ってるから
それもまた微笑ましくも思ったり。








「でも俺は翔くんは莉津と同じところに
行きたいって思ってると思うけどな〜」

「なんで、」

「だって俺ならそうだもん、笑」

「でも話しようとしないし、サッカーばっかり」








なるほど、理解ができた。




っていうのも俺もスポーツやってると
そのことしか考えられなかったから、笑





女の子はきっとこんな風に思ってたんだろうな、






なんて呑気に考えてると





「ま、そんなこと言っても私、翔のこと好きなんだけどね」

「…そっか、なら大丈夫だな」






俺にとって爆弾発言。





…大人になるって、こういうことかぁ
って泣きそうになった。









「じゃあね、おやすみなさい」

「はーい、おやすみ」









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「A〜…」

「…りっちゃん？笑」

「俺の娘が…」

「もう、離れてよ、笑」









キッチンで洗い物をしていたAに泣きつくのが
もう定番になってたなぁ。









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