ウェデングベルが鳴り響いて_Takanori.I

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「ただいまー」

「おかえりなさい」









ただいま11時。



すべての仕事が終わりやっと帰宅。
2年生になったりっちゃんも、5年生の湊人と結人も
すでに夢の中。






どんだけ遅くてもご飯をよそってくれるA。




ご飯を食べる俺の正面に座って何やら真剣そうな顔をしてる。








「なんかあった？」









ゆっくりご飯食べながら聞いてくれたらいいからね、
なんて言うAにうんとだけ返事をした。









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「莉津が、今日お友達にからかわれたって言ってて」

「どうして？」

「剛典のことでね、」









ご飯を食べる箸を止めた。

いや、止めざるをえなかったという方が妥当かな。









「お、おれ？」

「岩田剛典の娘って、どこでも言われちゃうって言ってて
嫌だなーって落ち込んでたんだ。」

「だからって、そんなの…」









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「でも、わたしも、莉津の気持ちが少しだけなら分かるの」









ただ、知らなかった。
そんなのじゃ済まされないことも今なら分かる。








「どういうこと？」

「外に出るとね、岩田剛典の妻って言われるんだ、私。

剛典に、有りもしない噂が立ったら
『奥さんがしっかりしてないから』なんて
言われることもあるの。

でも、それは莉津も、湊人も結人も同じ。
EXILE、三代目の岩田剛典の娘、息子。」









ごめん、ただそれしか思わなかった、思えなかった。


それすらも、言葉にできなかった。









「でも、わたしはひとつも嫌じゃないんだ。

莉津は今はまだ子供だから傷付くかもしれないけど、
私は岩田剛典の妻って言われることに
誇りを持ってるよ、って莉津に話したの。」








でも俺が思ってる以上にAは強くて、


きっと、莉津も、湊人も結人も。








「そうか...」

「だから剛典は別に心配しなくていいからね！

きっと分かってくれる時が来るから、
その時は沢山、話してあげようね」









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ふと、隣を歩く君を見た。







すると不思議とぱちっと目が合ってニコって笑う君。









もしかしたら、もっと小さい頃から


俺のことでずっと嫌な思いをしてたかもしれない、


泣いてしまったこともあるかもしれない、






でもこうして、笑顔で希望に満ちた君の顔を見れて

本当に良かったと、心からそう思えた。









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