それでも家族なんです__Takanori.I

.09 ページ9

.








「湊人くん！行こう！」

「うん 、ちょっと待って… 」







すっかり小さく古ぼけたランドセルを
乱雑に背中に放り投げて腕を通して
湊人くんの方を見た。







… 湊人くん まだ 、ぐずぐずしてる ( 笑 )








「 もーー 、早く行くよっ 」

「 … よしっ 、いいよ！ 」









.









「 お父さん！行ってきます！ 」

「 … っ行ってきます 」









お父さんも湊人くんも
結局握手はちゃんとしてから学校行くの。









「 お母さんもー 」

「 はーい、いってらっしゃい！気をつけてね！」









半年ぐらい履いて既にくたくたになった靴に
足を通して玄関のドアを開けた 。









「 そろそろ靴買ってもらお、ちいさい…. 」

「 僕も！ 」









背丈も同じ、靴も同じタイミングで
履けれなくなるから









「お母さんも大変だなあ 」









何がどう大変なのか分からないけど
この前、近所のおばさんが言ってた言葉を
そっくりそのまま真似てみる 。









学校までの道のり 、20分も無いぐらいだけど









「月曜日は荷物が多いな」

「ぼく今週エプロンあるから余計に、だよ」

「だよねー」









毎日、毎日よく話題が尽きないもんだ。









「そう言えばさ、この前言いかけてたの…、
湊人くん何言おうとしてたの？」


「あー、うん。」









.









「…僕、お医者さんになりたいんだ」









この時の湊人くんの表情をきっと、
ぼくは一生忘れないと思うんだ。










.

.10→←.08

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す