それでも家族なんです__Takanori.I

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「湊人、入るよ。」


「…うん、」









控えめなその声は
いつもよりもずっと元気が無くて









「湊人、ダンス…行かないの？」

「先生に休むって言って、」


、






師匠 、師匠 、って言って
すごく懐いてた先生の名前を出してみても
行かないの一点張り。








行きたくないって言ってるから
無理に行かせる必要もないかな、って







「そっか、また気が向いたら言ってね、
送って行くからね。」


「わかった、」









うんって頷いたのを見て部屋から出ようとした時 、



カタンと鉛筆を置く音と、







「ねえ・・、お母さん」







今にも消えそうなそんな声が聞こえた。







ドアの前まで来てたのも構わず
外面だけ冷静を装って

私に母の貫禄なんてもの、
まだこれっぽっち有りやしないのに







「ん？ どうした？」







震える声を押し込めて
優しく、優しく、聞き返す。








「ぼく・・、僕、ダメダメだなあ 」


「そんなことないよ。」








ほらね、やっぱり。
母として何一ついいアドバイス出来ない







「僕、ちゃんと考えてるから。
迷惑かけちゃうかもしれないけど、」



「大丈夫、いつでも待ってるからね。」









待ってることしか、

信じることしか出来ないけど、

湊人なら大丈夫だよね。









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