それでも家族なんです__Takanori.I

.29 ページ29

.








「湊人、どっちが先に見てこようか」

「お父さん見てきて！」

「俺！？」

「…僕が先に見るの？」

「えぇ〜」









寒空の下、車の中で湊人と会話を交わす
何気ないひと時…っていうのかな








そう、今日は合格発表の日。







俺の時は 、

親父がすごい厳格な人だったから
こんなやりとりもなかったと思う 。







むしろ一言も交わさなかったのかな






負けず嫌いと緊張が入り混じった気持ちだったな








そんな曖昧な記憶をたどっていると
あっという間に学校へ到着した







「…一緒に見に行こうか」

「うん。」

「緊張してんの？」

「そんなことないよ！」

「それ絶対緊張してる！笑」

「そんなこと言ったら緊張してくるでしょ！」








あくまでも、
湊人の緊張をほぐしてやろうとしてる

けどガッチガチに緊張してるのは俺の方で
情けないけどひとつ大きく深呼吸をした









.

.30→←.28

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す