それでも家族なんです__Takanori.I

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「もしもし、今どこ？」

「商店街抜けたところなんだけど…」

「じゃあ俺は神社の方見て回る！」








ザーザーと降る雨の音と
電話越しに聞こえる

翔くんのお母さんが2人の名前を呼ぶ声が
事の重大さを感じさせる。









「莉津ー！翔くーん！」









俺もめちゃくちゃ不安で
傘をさしてあたりを走り回る。









「…」









まさか、神社なんかにはいない、かな。









長々と続く階段を見上げ、
トレーニング後にこれ登るのか。




なんて少しため息をつきながら。









「よし、」









階段をのぼり始めた。









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「莉津ー！翔くん！いるかー？」








声をかけながら、
階段を登りきったところで









「莉津…？かける、くん？」









小さな2人の影を見た。









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「莉津っ！翔くん！」

「莉津の、お父さん…」









自分でもわからない、

2人とも何ともなくてよかった。









はずだったのに、









軒下でぐったり横になる莉津を見てか



門限を守らなかったことに対してか



それとも、大事な莉津を
こんな目に遭わせた翔くんに対してか





守りきれなかった、
父親である俺の情けなさからか









「お前っ…！！」









子どもに手をあげたことなんて

ましてや、他人の子どもに手をあげたことなんて

なかったのに、









俺はこの日初めて、








子どもに手をあげた。









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