愛言葉と相執【はじめしゃちょーの畑】

reel-5 ページ6

「あ、あれ。あのマンション」

「は〜また高そうなとこに住んでんのね」


最寄り駅から歩いて五分程度。

すぐに住んでいるマンションが見えて指をさす。


「何階？」

「7階」

「景色良さそう」





そんな他愛のない話をしているとすぐにマンションの玄関口まで着いた。


立ち止まった彼の5歩先を進んで振り返り止まる。





「今日はありがと。久しぶりに楽しかった。帰り、飲んでるんだから気をつけてね」

「言われなくても」




そうやってはにかむ彼。


この辺は街灯が少ないからぼんやりと照らされる輪郭がどこか寂しさを感じさせた。


じゃあ、と口を開こうとした瞬間だった。





「次」




ようへいはその場から3歩進んで私に近づいた。


立って向かい合うと随分身長差を感じて目だけじゃなく顔も上を向けた。


「次、いつ休み？」


「休み…？」


「うん、またどっか行こうよ。俺も楽しかった、から」



髪をくしゃりと触りながらスマホを取り出しスクロールすようへい。


私もスマホのカレンダーを開いた。



「えと、普通に日曜日休み」


「予定入れてない？」


「うん」


「じゃあ、土曜の6時ね」


「日曜じゃなくていいの？」


「次の日仕事でしょ？疲れさせる訳にはいかないから日曜は休んで」


「あり、がと……」




相変わらず周りがよく見える人だと感心する。


「どういたしまして」



柔らかく微笑むその顔に大人を感じた。






ほら、またなんか胸がきしむ。

じゃあねと小さく手を振ってそのまま部屋に帰った。

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