repeat-11 ページ44
「よ、うへい……」
後ろからしたその声は、ずっと聞きたかったその声。
スマホを手に持ち、息を荒らげているようへいが、そこにはいた。
お互いが1歩、2歩と距離をゆっくりと詰めていく。
そして手を伸ばせば届くような距離にまで縮まる。
____静寂。
やっと整った呼吸に、視線だけが絡まる。
ようへいの頬には汗がつたっていて、太陽で光り呑気にも綺麗だなって思った。
どれだけ見つめ合っているのかは分からない。
それは長くも短くも感じられた。
やっと口を開こうと思い、声を出そうとする。
でも、一足先に目の前のようへいが切り出した。
「この前は、ごめん…」
みるみる顔が伏せていく。
違う、そうじゃなくて。
もう一度、口を開こうとする。
でもそれも、ようへいの言葉に遮られた。
「……やっぱ嘘。何言っても、言い訳になる。
……会いたかった」
手が伸びてきて、引き寄せられ抱きしめられる。
「ようへい……」
「俺、どうしてもAのこと好きだから。絶対変わらないって、約束するから」
だから、
「大切にする。幸せにする。
だから、俺にAを守らせてください」
ぐ、と抱きしめられている力が強くなる。
と、同時に目からは暖かい涙が溢れていた。
この気持ちはきっと、そう。
「……いいよ」
誰にも変えられない、好きって気持ち。
「ほん、と?」
耳元で囁くその声は震えていて、不安が伝わる。
でも、その分腕の力は強まっていく。
ああ、ほらそういうとこ。
「私、変わるのが、ようへいが隣からいなくなるのが怖かったの。
直接的距離よりも、心の距離ができるのが……」
腕をようへいの背中に回し、抱きしめ返す。
「……でも、ずっと一緒にいてくれるって、約束してくれるんでしょう?」
腕の力を弱め、上半身を反らせて顔を合わせる。
ようへいの顔は、驚いたように目を大きく開き、口小さく開けていた。
そんなのも面白くて、つい笑ってしまう。
すると、
「いたっ!」
笑ったのが気に食わないのか、頭で額を、いわゆる頭突きを軽くされた。
「ちょっと!ようへ」
「好きだよ」
言葉を被せされる。
額はジンジン痛いけど、それでも満足だ。
ようへいの嬉しそうな、楽しそうな、幸せそうな、愛おしそうな笑顔を、声を温度を気持ちを。
こんなにも近くで感じることができるのだから。
「私も好きだよ」
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しろぷげ(プロフ) - 蜜柑さん» 蜜柑さんありがとうございます!三途の川笑戻ってきてください〜笑先生の作品もまた書きますのでその際はよろしくお願いします! (2020年1月17日 21時) (レス) id: 50e0c3613f (このIDを非表示/違反報告)
蜜柑 - 最高なんですか?え?ここは、、、天国?あっ、おじいちゃぁん。あっ、失礼しました。あまりにもいい神作品すぎて三途の川渡ってました笑本当にこんな神作品を私にありがとうございますっ!次のやふへゐ先生の作品も期待しています!! (2020年1月6日 1時) (レス) id: 759986fa33 (このIDを非表示/違反報告)
しろぷげ(プロフ) - 天さん» 天さんありがとうございます!そう言ってもらえて本当に嬉しいです……!構想は練ってあるので時期が来ればまた書こうと思っているのでその時はよろしくお願いします! (2019年12月29日 23時) (レス) id: 50e0c3613f (このIDを非表示/違反報告)
天(プロフ) - 本当に感動しました!!私もこんな作品を作れるようになりたいです……!またやふへゐ先生の作品を出していただけたらうれしいです!!これからも頑張ってください!! (2019年12月29日 17時) (レス) id: 8ed3243323 (このIDを非表示/違反報告)
しろぷげ(プロフ) - なぁさん» こちらこそ!見ていただいているとは思ってなかったのでとても嬉しいです!泣応援しています! (2019年3月16日 18時) (レス) id: e4f8d513cd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しろぷげ | 作成日時:2019年2月11日 23時