愛言葉と相執【はじめしゃちょーの畑】

reel-3 ページ4

「……ほんと？」

「本当」


固くはないけど真面目な顔してる。



ほんとなんだ。







「すごいじゃん、おめでとう。なんで？どうしてそんなことになったの？｣






「いやまあ色々オーディション受けて、最終的に本人から一緒に動画やって欲しいって」









思わずへえと声がもれる。


そうか、本人から直々に……









「え？待って出る側なの？」



「え？出る側よ？」




「アシスタントとかじゃなくて？」




「アシスタントじゃなくて」





「それは…やばいね。動画に出るんでしょ、わあ見なきゃだ」








グラスをまた口に運ぶ。最後の一口だった。








「恥ずかしいけどまあ見てみてよ。後で送るからさ」








ようへいもグラスに口付ける。もう既に彼のグラスは空だった。








「…ま、とりあえず店出る？」


「そうだね。いくらになる？」








鞄から財布を取り出して目を合わせる。ようへいの顔は少しにやけているようにも思えた。







「あー俺もう払っといたよ。出るだけ」



「嘘！安くないんだし、割り勘でいいってば」



「いーの。こういうのは男が払うもんだから」









さあさあ早く出た出たと椅子に掛けていたコートを渡される。









「なんかへんなかんじ…」

「はは、何それ」









面白い事を言ったつもりも顔をしたつもりもないけどようへいは大きく笑った。









笑い方、変わらないね。

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