remake-2 ページ18
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「思ってたんだけど、Aさん珍しいですね、髪まいてる」
お昼。仕事のクライアントの人とご飯を食べている時。
「どうですか、変じゃないですか?」
彼は首を縦に振りながらすごいいい感じですよ、かわいい!って肩を軽く叩いてきた。
いや、素直に照れる。
「なになに、もしかして今日デートとか?」
デート。
「でーと、で、いや、ええ、ううん?あ〜ご飯食べにいくだけ…?」
「んん、じゃあ好きな人とってことですか?」
「好きな人……?」
……どうなの?
「ことごとく外しますね俺、じゃあ気になってる人かあ」
「友達って感じには見えませんか?」
ええ?と首を傾げられる。何、どういうこと?
「見えないですね〜、だって友達とご飯行くだけなら普段しないようなことしないでしょ?」
そう言うと彼は指をピンと立て微笑む。
的確。
確かにそうかもしれない。
「よく、分からないんです。私、その…相手のことが」
ほうほう、と相槌を打たれる。そのまま続けた。
「付き合ってって、言われたんですけど。電話だったから分からないけど酔ってるように思えて。冗談だろって思っていいよって言ったら、なんかほとんど毎週ご飯食べてるんです。
これって付き合ってるんですかね?」
口に出して思った、私、思ったよりもこれが不安要素になってたんだ。
「それは相手に聞けないんですか?」
ゆるりと首を横に振る。
「相手が幼なじみで。8年ぶりに再会したんです。そんなちょっと距離が合った後っていうのもあって妙に女の子扱いされて。関係が微妙で…。
気まずいわけじゃないんですけど、なんか、ほんとにわかんなくて」
心臓から首にかけてなにか閉まる感覚を覚えた。
目が伏せていく。なんで、こんなに。
「じゃあ…Aさんは?」
「……え…?」
「その人のこと、好き?」
「私……」
そこまで言うと彼はにこりと笑って席を立った。
「大切なのはさ、自分がどう思ってるかですよ。自分後まわしで相手の考えを優先させるだけじゃ、苦しくなる」
おっさんが何言ってるって話だけどねと茶化した、でも多分そういうことなんだろう。
「ありがとうございます、なんか、ちょっともやもや晴れたかも…」
それは何よりと彼は歩き始めた。
私も急いでカバンを持って後ろへ着いて歩いた。
私の、好きといえる気持ちはどうなのかな。
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しろぷげ(プロフ) - 蜜柑さん» 蜜柑さんありがとうございます!三途の川笑戻ってきてください〜笑先生の作品もまた書きますのでその際はよろしくお願いします! (2020年1月17日 21時) (レス) id: 50e0c3613f (このIDを非表示/違反報告)
蜜柑 - 最高なんですか?え?ここは、、、天国?あっ、おじいちゃぁん。あっ、失礼しました。あまりにもいい神作品すぎて三途の川渡ってました笑本当にこんな神作品を私にありがとうございますっ!次のやふへゐ先生の作品も期待しています!! (2020年1月6日 1時) (レス) id: 759986fa33 (このIDを非表示/違反報告)
しろぷげ(プロフ) - 天さん» 天さんありがとうございます!そう言ってもらえて本当に嬉しいです……!構想は練ってあるので時期が来ればまた書こうと思っているのでその時はよろしくお願いします! (2019年12月29日 23時) (レス) id: 50e0c3613f (このIDを非表示/違反報告)
天(プロフ) - 本当に感動しました!!私もこんな作品を作れるようになりたいです……!またやふへゐ先生の作品を出していただけたらうれしいです!!これからも頑張ってください!! (2019年12月29日 17時) (レス) id: 8ed3243323 (このIDを非表示/違反報告)
しろぷげ(プロフ) - なぁさん» こちらこそ!見ていただいているとは思ってなかったのでとても嬉しいです!泣応援しています! (2019年3月16日 18時) (レス) id: e4f8d513cd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しろぷげ | 作成日時:2019年2月11日 23時