春の日 わたぬき 降谷さん�� ＊桜の花びら様リクエスト＊ ページ5
気づけば日も落ちていた。夜ごはんも食べてしまったし、もう別れの時間が近づいてきた。
帰りたくない、離れたくない。零の方分からないが、私は楽しかった。
またしばらく会えないんだろうか……ならもっと私の方から近づいていけばいいのに。
敬語とかもやめて、もっと素直に――なれたらいいのに。
「A？ 今日ずーっとぼーっとしてるね」
「ご、ごめんなさい」
「すぐ謝るの悪い癖」
呆れたような視線、いや、宥めるような視線だった。
なんだかそれだけで心に刺さってくる。私は思わず、俯いてしまった。
「もしかして、俺といるの楽しくない？」
「いや違います！ その……だって、えっと」
ぱっと上を向くと、零が目に入る。
「ん？」と首を傾げて私の話を促した。
「えっと……なんかその、私と零釣り合わないなーって思っちゃうことがあって。私は楽しいけど、零は楽しいのかなーって。……零って休み少ないらしいから、その貴重な休みを私なんかと……」
こんなことを言ってしまう自分が恥ずかしいし、嫌気がさす。
油断したら泣いてしまいそうだし、泣いたらもっと嫌になる。
……なんか私めんどくさい、女だな。
「A」
ふわり、と柔らかい力でほんの少し体が圧迫された――？
気が付けば、私は零の腕の中にいる。混乱して、落ち着いて抱きしめられている時が付いた。
背中に回された手がトントンと優しく私の背中を叩いた。
もうあたりは暗い。人通りもない。きっと誰も見ていない――
「なんか、泣きそうだったから」
「割と泣きそうです……なんでだろう」
「釣り合わないとかそういうの考えなくて、もっと俺に甘えてくれればいいのに」
俺はAのことちゃんと好きだから。
より強い力でぎゅううと抱きしめられる。
なんだか押しつぶされてしまいそうだ。でもこの幸せになら押しつぶされたい。
応える様に私も零の背に手を回す。春のように、零の腕の中は温かい。
「そうだ、渡したいものがあったんだ」
すっと私を解放し、いつからか持っていた紙袋を零は差し出した。
中身を見てみると、春物のコートが入っていた。確か、さっき行った店でいいなあと思ったやつ。
い、いつのまに……と驚いてしまう。
「ね、4月1日って書いてなんて読むか知ってる？」
「しがつちたち、じゃないんですか？」
「わたぬきって読むんだよ」
わたぬき？ と返すと零は私の頭を撫でながら
「苗字なんだけどね。昔は4月1日に着物の綿を抜いたからそうやって読むんだ」
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イヲハ(プロフ) - 零音さん» ついでになってしまいますが、リクエストの誕生日の件了解いたしました。この度は大変失礼いたしました。コメントありがとうございました。無いように努めますが、今後このようなことがあればまた教えて下さると幸いです。 (2018年1月20日 2時) (
レス) id: da7fe4e2aa (このIDを非表示/違反報告)
イヲハ(プロフ) - 零音さん» 自分は着物と聞いていたので……。今wikipediaを確認したのですが、着物と書かれていました。ですが諸説あるのかもしれません。今回の話では『着物』ということにさせていただきます。紛らわしいたとえを使ってしまい申し訳ございません。 (2018年1月20日 2時) (レス) id: da7fe4e2aa (このIDを非表示/違反報告)
零音(プロフ) - 4月1日（わたぬき）の語源？？意味？は着物のワタではなく布団のワタを抜くからだったと思います (2018年1月20日 2時) (レス) id: 0fac29e216 (このIDを非表示/違反報告)
零音(プロフ) - イヲハさん» お久しぶりです！赤井さんの誕生日は10月か11月頃でお願いします! (2018年1月17日 7時) (レス) id: 0fac29e216 (このIDを非表示/違反報告)
イヲハ(プロフ) - ももさん» リクエストありがとうございます！ 両方ともなのですが、夢主の気持ちはどちらに傾いている、という要望はありますか？ なければ私が勝手に決めても宜しいでしょうか……？ (2018年1月17日 4時) (レス) id: da7fe4e2aa (このIDを非表示/違反報告)
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