春の日 わたぬき 降谷さん�◆ �桜の花びら様リクエスト＊ ページ4
「ええっと……聞いてますっ」
「なんか考え事してるみたいだし、悩み？」
29歳なんて信じられない。所謂童顔、だろうか。そんな零の顔がすぐ近くに。
女の子みたいに長い睫、整った顔立ち――見てるこちらが恥ずかしい。
青い瞳は猫のように心配そうに私を見つめていた。
「なんでもない……です」 私は慌てて首を振った。
「考えるなら」
そう聞こえた瞬間、ずいっと、零の顔がより一段と近づいた。
思わず肩を震わせ、目を閉じてしまう。
「俺のことだけ考えてよ」
ぞぞっと背筋に変な感覚が走った。
反射的に目を開けると、そこに零の顔はなく、代わりに私の耳元に。
まるで内緒話をしている――いやそんなものじゃない。
「零……？」
いつもとは違って大胆な零に驚いてしまう。
零はまたフッと笑う。耳にかかる笑い声が変な感じに私を刺激する。
そしてもどかしい。
「冗談、だよ。エイプリールフール。あ、でも……」
「でも？」
「冗談じゃないかも」
そう聞こえたかと思えば、次に耳に届いたのは軽いリップ音。
同時に頬に柔らかい湿った感触。
少し遅れて、それがキスだと分かった。
突然の事でキャパオーバー。私は固まってしまいただ茫然と零を見た。
零の方は少し照れているものの、まだ穏やかな笑みを浮かべている。
……誰かに見られてないだろうか。そんなどうでもいいことが脳裏を過る。
「顔真っ赤」
「だって…………！ だって！」
「もう一回しようか？」
「え」
「冗談」
握っていた手がどんどん温かくなったのが分かった。
そう言えばもう春だった。今日は冬物のコートだから少し暑く感じる。
気温の所為もあるが、……絶対それだけじゃない。
「でもどうせするなら、ほっぺじゃないほうがいいか」
なんて零が言ってたのはスルーして。
デートなんて言っても別にそんな高尚なものではない。いやデートに高尚もなにもないけれど。
私が春物の洋服を買いたい、と言ったので適当にアパレルショップを巡ってお茶をして……くらいだ。
もう少し遅ければお花見デートってのもあったが零の都合がつかなかった。
零の仕事は相当忙しいらしい。なのに忙しい仕事の合間を縫って私と会ってくれる。
本当にいい人だな、と思うが、私でいいのかとも思ってしまう。
私は楽しいけど、零は楽しいのかな。気を遣わせてばかりいる――。
そんなことを頭の片隅には入れておきながら、デートは恙なく進行した。
り楽しいし、零と一緒に居られるだけで、嬉しかった。
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イヲハ(プロフ) - 零音さん» ついでになってしまいますが、リクエストの誕生日の件了解いたしました。この度は大変失礼いたしました。コメントありがとうございました。無いように努めますが、今後このようなことがあればまた教えて下さると幸いです。 (2018年1月20日 2時) (
レス) id: da7fe4e2aa (このIDを非表示/違反報告)
イヲハ(プロフ) - 零音さん» 自分は着物と聞いていたので……。今wikipediaを確認したのですが、着物と書かれていました。ですが諸説あるのかもしれません。今回の話では『着物』ということにさせていただきます。紛らわしいたとえを使ってしまい申し訳ございません。 (2018年1月20日 2時) (レス) id: da7fe4e2aa (このIDを非表示/違反報告)
零音(プロフ) - 4月1日（わたぬき）の語源？？意味？は着物のワタではなく布団のワタを抜くからだったと思います (2018年1月20日 2時) (レス) id: 0fac29e216 (このIDを非表示/違反報告)
零音(プロフ) - イヲハさん» お久しぶりです！赤井さんの誕生日は10月か11月頃でお願いします! (2018年1月17日 7時) (レス) id: 0fac29e216 (このIDを非表示/違反報告)
イヲハ(プロフ) - ももさん» リクエストありがとうございます！ 両方ともなのですが、夢主の気持ちはどちらに傾いている、という要望はありますか？ なければ私が勝手に決めても宜しいでしょうか……？ (2018年1月17日 4時) (レス) id: da7fe4e2aa (このIDを非表示/違反報告)
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