秋の日 銀杏の木 ジンさん�� ページ10
「どこの国だ。そして鼠は他にもいるか」
口調が荒々しく、声がどんどん低くなっていく。
私は観念したように口を開いた。
「国も所属も分からない。ただ指令をこなしていくだけ……」
空を見上げる。雲一つない晴天は銀杏の木で邪魔をされて黄色く染まっているよう。
どうしてかわからないが、まるで籠の中の鳥のようだと感じてしまう自分がいた。
「ほかの鼠のことだって知らない。私は組織の中でもあまり関わりは持っていかなかったから――」
――あなたを除いてね。
とジンに微笑みかける。
何で私は笑っていられるんだろう。
これから死ぬというのに。
これからこの人に殺されるというのに。
どうして、こんなにも彼のことを愛おしいと思えるのだろう。
「ジン、あの、私は本当は――」
――パンパンパン。
耳に届いた三つの乾いた音。体に駆け巡る鈍い痛み。
さいご、まで、つ、た……え、られな……………。
目に映ったのは黄色い銀杏がただただ赤く染まっていく様子だった。
＊ ＊
「ウォッカ、後始末を頼む」
「了解しやした。でもまさかコイツがネズミだったなんて……」
「あらぁ、もう殺しちゃったの？」
颯爽と現れたのはベルモット。いつからいたのか、不敵な笑みを浮かべていた。
「この子、完全に貴方に気があったじゃない。のに殺すなんて流石ジン」
皮肉のように彼女はそう言った。
そういうところ、私も好きよ。とﾍﾞﾙﾓｯﾄはジンを一瞥する。
「どう？ 今夜、またマティーニでも作らない……？」
妖艶な雰囲気を出すベルモットには目もくれず、ジンは車に乗り込んだ。
つれないこと、とぼやくとベルモットもバイクに跨り、発進させた。
『完全に貴方に気があったじゃない。のに殺すなんて』
ベルモットの言葉をジンは脳内で反芻させた。
気があったらどうなのか。あったらネズミを逃すのか？
色恋沙汰を優先させるのは女性だけ。それで本質を見誤ってはいけない。
彼女はスパイで、自分は組織の幹部。
それだけの話。それまでの話。
もうすでに骸に成り果てた彼女――結城Aを車の窓ガラス越しに眼中にとらえてたが何も思うことは無かった。
彼女からの好意は確かに自覚した。しかし受け取ろうとは思わなかった。
まあ受け取っていたところでネズミと分かれば容赦なく殺していただろう。
やはりそれまでの話。
散っていく黄色い葉が彼女の血で朱く染まると同時に、空虚な気持ちになるのを彼は自覚しようとはしなかった。
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アニオタ - やばいやばいやばい！！快斗くんやばい…っ！！！ (2018年6月3日 23時) (
レス) id: e9f436c148 (このIDを非表示/違反報告)
イヲハ(プロフ) - 桜の花びらさん» 深夜にレス失礼します。この作品の続編にリクエストを投稿しましたので、お時間のある時にご覧いただければと思います。リクエストありがとうございました。 (2018年1月20日 2時) (レス) id: da7fe4e2aa (このIDを非表示/違反報告)
イヲハ(プロフ) - ひよこさん» よかったです〜〜！ ぜひぜひ何度でもしてください〜〜！ 私も楽しかったです〜〜！！！ (2017年12月15日 23時) (レス) id: da7fe4e2aa (このIDを非表示/違反報告)
ひよこ(プロフ) - イヲハさん» ありがとうございます！！すごく面白かったです感動しました！ほんとに私が想像していたスコッチでした（n回目）またリクエストすると思いますがよろしくお願いします！笑そして昨日楽しかったありがとう〜 (2017年12月15日 6時) (レス) id: 7e626f0eed (このIDを非表示/違反報告)
イヲハ(プロフ) - シルビアさん» 深夜にレス失礼します。コメントありがとうございます。修正しようと思っていたのを忘れていました^^; ご指摘ありがとうございます！！ ありがとうございます、頑張ります！！ (2017年12月15日 1時) (レス) id: da7fe4e2aa (このIDを非表示/違反報告)
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