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器用じゃないので。慌てて付け加えたその言葉が詭弁で、照れ隠しだって気づかれたとしても。
余裕のない彼をもっと見てみたい。
暴いてしまいたい。
よくばりな自分が、こっそりと顔を覗かせる。
するりと肌を撫でた鈍色のチェーンは冷たく、首元に恐る恐る回された手は正反対に熱を帯びていた。
くすぐったさも忘れて少しだけ大和さんの方に視線をやると、普段からは想像もできないほど真剣な顔つきで、脈という脈が一斉に騒ぎ出した。微かに鎖骨にかかる吐息にも、どくんどくんと鼓動が加速する。
どうかその音が聞こえていませんように。
そう祈りながら待っていると、大和さんが私の肩に手を添える。
そのまま身体を少し引き離して距離をとり、顎に手を当てて考え込むような仕草をしてみせた。
「うん……いい。めちゃめちゃいいわこれ……」
「え？」
「あぁえっと、……すごく、似合ってる」
そう言うと大和さんは素早くパッと顔を背けた。
「……ふふ」
「な、何？」
「なんでもないですよ」
真っ赤に染まった耳に気づいた私に花丸をあげたかったが、まずは可愛い事実を早々にこっそりと胸の中に隠すことにした。
テレビの中の芸能人としての彼は常にキラキラしてる。けれども、今私の目の前に立っている大和さんは、別の意味で私にとって眩しく映るのだ。画面越しなんかじゃない、素の彼の姿を見つけられるのが嬉しい。恋人特権とはよく言ったものである。
「大事にしますね」
「あー、落としたり失くしたりしないか心配だな〜」
「そんなことしませんってば」
貴方からもらったものだから。
それだけは彼が調子に乗りそうで言えそうもなかったものの、いつの間にかほぐされた心がじんわりとあたたかくて、私の手が自然とネックレスに伸びた。
明日から、ぐっすり眠れるといいな。
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「いらっしゃいませ。お決まりですか？」
「それが、色んな種類があって結構迷っちゃって」
「当店は豊富な種類を取り揃えておりますので、ぜひごゆっくりお考えください。ところで、お選びになっているのは贈り物ですか？」
「はい、まぁ、一応……そうですね」
「でしたら、お相手のことを教えていただければ、お力添えができるかもしれません。似合いそうなものをいくつかピックアップしますよ」
「相手、ねぇ……」
「……ずっとそばにいて大切にしたい人、ですかね」
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