MY SEVENTEEN, 【アイドリッシュセブン】 (ページ11)

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エンカウントページ11

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防音のダンススタジオに、控えめなクラップが反響している。

ファイブ、シックス、セブン、エイト、リセットされて再びカウントが1に切り替わるその瞬間にリノリウムの床を蹴ってカウントを刻む。
脚のステップだけでは物足りないと言わんばかりに腕が動き、それが上半身全体になり、収まりきらない衝動を全身で表すように大きくプレパレーションをしてそのまま二回転ターン。キュッと音を立てて回転を止めてポーズを決めれば驚くほど体に馴染む。

「今日のA、調子良いな」

良かったぜ、とカウントを止めて私の肩をポンと叩く彼が今度は鏡の前に躍り出る。
時刻はとうに9時を大きく回っていて小学生と中学生は家に居るような夜、楽の父からこっそり鍵を拝借して開けたスタジオで扉のその先を気にしながらステップを踏む。その筈なのに、今日はそんなことも忘れて無我夢中に踊り狂った。

「ファイブ、シックス、セブン、」

8歳だとは思えない。天才的なダンスだ。
そんな賞賛なんてどうでもよくて、そんなもののために踊っているのではなくて、ただ自分の体すべてで自分を表現するこの手段が愛おしかった。腕を振るたび、ステップを刻むたび、ターンをするたび、えも言われぬ快感と幸福感が麻薬のように自分を満たしていく感覚。叶うことならずっと踊っていたかった。その思いは楽と踊りあうたびに膨れ上がって、私を何時間と踊らせる。

私だけじゃない。きっと楽もそう思っている。
背中合わせで思うままに即興で踊っても、面と向かい合って獣同士の喧嘩みたいにダンスバトルをしても、呼吸を合わせて同じステップを踏んでも、いつだって湧き上がる快感は最上級で、鏡越しに合わせた彼の瞳は輝いているから。

「エイト」