美しい人 ページ4
どん、と構える石や煉瓦造の巨大な城。広大な庭の先にあるというのに、まだ門前にいるというのに、伝わってくる威圧感。おぉ、と思わず感嘆の声を漏らせば、昼時の空のような水色の瞳を向けられる。口角が上がり、自慢気に見てくるその人物にまたワシャワシャ頭を撫でられる。
「お城、大きいんやねぇ」
「やろ？お前は多分ここで一緒に暮らすことになると思う」
「はえぇ、迷う自信あるわ。後でもええから城内の作り教えてくれへん？」
「ええぞ」
後で探索を行う約束をすれば、グイッと鎖を引っ張ってずんずんと彼が進んでいく。長い茶髪が揺れる姿は美しく、ずっと見ていたい……が、少し待ってくれないのだろうか。あまり引っ張ると苦しいし痛い。耐えられないほどではないが、辛い。「ちょ、まってぇや」と声をかけるも無視して進むので、トコトコと足を動かしてついていった。
広い庭は、田んぼや畑が大多数だ。しかし所々見える美しい花園にはどうも心が踊るというものだ、牢獄に入ってから以来か、しっかりと花を見たのは。太陽に照らされると鮮やかな色を見せてくれる、その花々に笑みをこぼす。うん、綺麗。
そうこうしているうちに辿り着いた城。セチメントリーだかセメントリーだか忘れてしまったが、左右対称に作られているし、階段もさることながらスロープがあって親切設計だ。無論、城というのは籠城戦を行なったり軍事施設の中心部なので、大砲だのを運ぶためのスロープだろうけど。
ギィ、と音を立てて開いた大きな扉、その先に迎えるは優雅に窓辺に座る…金髪の美人。踊り場であるが故に、此方と高低差があって演出に長けている。が、それもアクセサリーであるが如く悠然と足を組み、本を読むその御仁の美しさと惹きつけられる何かには、屈せざるを得ない。
＿＿＿こいつ、只者やない
そう脳が危険信号を発する。しかし本からわっちゃへと移された紅の瞳を見れば、そんな危険信号など忘れてしまった。何せ、美しいのだ。美しいものは好きだ、大好きだ。牢の中で美しいものを見られずにいた日々が報われていくような感覚。はぁ、とあまりの美しさにじっと見つめてしまっていたが、その感覚を切ったのはオスマンの一言だった。
「グルッペン、こいつが例の死刑囚やで」
「あぁ、Aだな。新聞紙に乗った頃とあまり変わっていない」
耳に残る、重低音の艶やかな声。
この人がオスマンに指令を出していたのか、と1人頷いた。
そして、この人に使えると思うと頬が緩んだ。
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右京丸伍長@878(プロフ) - まんちゃお。さん» コメントありがとうございます！首輪をつける趣味？変態紳士ですから…ではなく一時的な保険です。ありそうですけどね、つけられる方が好きなイメージですけど。 (2017年9月25日 17時) (
レス) id: 6f835c08c5 (このIDを非表示/違反報告)
まんちゃお。 - 自分もオスマンさんの小説を書いてますがすごく読みやすく面白いです!オスマンさんに首輪をつける趣味があったとは…(( 更新頑張ってくださいね♪ (2017年9月24日 11時) (レス) id: 796ae87385 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：右京丸伍長(´・ω・｀) | 作成日時：2017年9月8日 23時
