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「 もう、別れよ俺ら。」
そんな彼の冷たい声と態度で硬直して飛び起きたのが深夜の3時。
もう何度、同じ場面の夢を見たのだろうか。
何回見てもいつも、示し合わせたようにこの場面ばかり再生される。
理由も聞けず、何も言えずあっさりと引き下がった自分から今もその状況を甘んじて受け入れている自分への戒めなんだろうか。
眠る気にはとてもなれなくて、なんとなくスマホの画面を見始めるとすぐに出てくる彼。
そういえば、この間主演のドラマ放送が終わったはず。
スーツを着て後輩と笑う彼は変わらずあの目を細めてくしゃっと笑う顔をしていて。
なんとも言えない気持ちになり、そのまま画面を落とす。
国民的アイドル と言っても過言ではなくなって来ている彼等の1人と付き合えていたこと自体がむしろ奇跡だった。
私が彼に助けてもらって、優しくしてもらってばかりだった。
貰いすぎていた。
そして、返せていなすぎた。
その結果だと頭では理解している。
でも、心はどこかでずっと彼がまた、私の名前を呼ぶのを期待している。
低すぎず、高すぎず、私の耳にはよく通る声で、
A
と呼んでくれるのを。
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作者名:碧 | 作成日時:2024年3月26日 23時