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ラウール side
全部荷物をまとめて病室を出ると、その足でナースステーションに向かった。
何だかんだバタバタしていて、看護師さんにお礼が言えていなかったねって、岩本くんが。
岩本「あの………向井のメンバーです。本当にお世話になりました。」
看護師「この度は………あっ！そういえば！少し待ってていただけますか？」
俺らに頭を下げたこの優しそうな看護師さんは、何かを思い出したようにどこかへ行ってしまった。
言われたままナースステーションの前で待っていると、看護師さんが持ってきてくれたのは、見覚えのあるものだった。
“これは家宝やなぁ………”
クリスマスに渡した、俺らのツアーグッズ。
しっかり9人分のサインが入れられたブランケットだった。
看護師「向井さんが集中治療室に移る前、これを持っていきたいって言ったんです。
亡くなる前も枕元に置いていたんですけど、渡すのをすっかり忘れていて………」
あの時はみんな必死すぎて、枕元にこれがあったなんて誰も気づかなかったな。
看護師「これ、皆さんのサインが書いてあるって、向井さんがよく自慢してくれました。
これを見てると、みんなも一緒に闘ってくれている気がするんだ、って。そうおっしゃってましたよ。
皆さんは、向井さんにとって“希望”だったんですね。」
受け取ったブランケットからは、まだ微かに康二くんの温かい匂いがした。
俺も限界だったけど、俺より先に声を上げたのはめめだった。
目黒「康二っ………ぅっ…………！」
ブランケットを抱えたまんま、めめはその場に座り込んで、子供みたいにわあわあ泣いた。
多分、めめの中で初めて、康二くんの死を受け入れた瞬間なんだと思う。
あの時はまだ実感もなにもなくて、だから泣けなかったんじゃないかな。
それまで一切泣かなかっためめが、糸が切れたみたいに泣いてるのが、心苦しくて。
………めめを抱きしめる形で、俺も一緒になってその場で泣きわめいた。
岩本くんはそんな俺たちの背中をさすってくれたけど、声にならない声で、嗚咽を漏らしていた。
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星野あかり(プロフ) - このお話を読むのは2回目です。今回はまたより入り込める状態で読んで…感動したっていうのはもちろん感動したの一言で表現できない程の気持ちでいっぱいになりました､生きることの意味・誰かを失うということ。色々なことに気づけましたありがとうございました。 (2月9日 13時) (
レス) @page50 id: 743718b8cd (このIDを非表示/違反報告)
翠静 - ヤバい……めっちゃ泣きました。とても感動するいい作品を作って下さりありがとうございます！読んだあとも余韻が残ってもっと色んな作品を読みたいと思いました。 (2022年7月6日 16時) (レス) id: eb151aeb11 (このIDを非表示/違反報告)
∞伊野尾宏太∞(プロフ) - まりもさん» 久しぶりにこちらの作品を見てコメントに気づきました。お返事遅れて申し訳ありません。私の作品も読んでくださってありがとうございます！こんなに素敵な文章を書く方に読んでいただけていたことを誇りに思います。本当にありがとうございます！ (2020年10月12日 22時) (レス) id: 0c06083fbf (このIDを非表示/違反報告)
まりも(プロフ) - わらび餅さん» コメントありがとうございます。レスが少し遅れてしまいました………すみません。しっかり考えて作った作品だったので、そう言っていただけて光栄です！この作品に足を運んで下さってありがとうございました！ (2020年10月3日 19時) (レス) id: a0fbd747c8 (このIDを非表示/違反報告)
わらび餅(プロフ) - 完結おめでとうございます。こんなにも心を動かされた作品は初めてで、思わずコメントさせて頂きました…！本当に感動しました！ (2020年10月1日 18時) (レス) id: d88059d669 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まりも
| 作成日時：2020年9月17日 17時
