Wind Beneath My Wings.《後編》

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阿部 side








そのあと結局、佐久間に道連れにされた照と、謎にテンションが上がった舘さんも海に入って、浜辺には康二と俺の二人。

康二はそんな7人を楽しそうに見つめながら、カメラのシャッターを何枚も切った。



「康二、楽しい？」

向井「そりゃもう！………俺な、景色とか撮るのも好きやけど、やっぱり人を撮るのが一番好きやねん。かっこいいのもいいし、こんな風に、みんなが笑ってるところとか。」

「そっか。」

向井「そやで？………ほら見て、このさっくん。めちゃくちゃいい笑顔やろ？」



そう言って康二が見せてくれた写真は、夕焼けに照らされながら歯を見せて笑う佐久間が映っていた。

佐久間だけじゃない。康二が撮るメンバーは、どれもすごくいい顔をしていた。









そろそろ日も落ちる頃。

康二に『みんな海から連れ戻してきて』ってお願いされたから行ったら、翔太に思いっきり水を浴びせられた。

渡辺「お前、せこいぞ！自分だけ濡れないなんて！」

そういう理由らしい。

ふとベンチにいる康二を見ると、けたけた笑っている。

………あいつ、こうなること分かってて俺を海に行かせたな？








海からあがると、もうすっかり日が暮れていた。

皆で着替えを済ませたあと、佐久間が取りだしたのはファミリー花火。



佐久間「これがなきゃ、夏始まらないっしょ！」

岩本「いや夏もう終わってんだよ笑」



………ということらしく、佐久間が馬鹿みたいな量の花火を買ってきた。

使いきれんのかよ、なんて思ったけど、9人もいたら案外早く袋の中身がなくなっていった。







そして最後に残った線香花火。これも花火の醍醐味だよね。

もちろん、『誰が最後まで残るか勝負ねー』なんて、お決まりの勝負も。

9人で、小さくぱちぱちと弾ける線香花火の火を見つめながら、きっとそれぞれが物思いにふけっていた。

そんな時だった。






向井「あ、落ちてもうた………っ」

目黒「康二？………輸血、切れたかもっ」



ちょうど線香花火が落ちたのと同じくらい。

ベンチに座っていた康二が、隣に座っていためめの方にぐったりと倒れ込んだ。



深澤「そろそろ限界かぁ………病院、連絡しとくわ」

「康二？分かる？」

向井「………にっ、く、ぁい」

「ん？」




意識はあるみたいで、力ない声で康二はこう言った。









向井「しにたく、ないっ………」








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