Wind Beneath My Wings.《後編》

63 ページ19

☃☃☃☃☃☃☃☃☃

渡辺 side








「お前、自分が何したかわかってんの？」

………思っているよりも、ずっと低い声が出た。







阿部「分かってる………ごめん。」


「プライベートにかまけて体調崩して倒れるとかさ、プロ意識の欠片もないよまじで。」


阿部「………うん。」


「お前の分も佐久間が一人で今収録出てる。多分、いろんな大人に頭も下げた。

頭良いんだろ？自分が倒れてどうなるか、考えなかったの？」








ちょっとキツイ言い方になったけど、多分これでいい。

メンバーだから、間違いは間違いだとハッキリ教えてあげなければいけない。







阿部「そこまで考えて動けなかった。今回のことは全部俺のせい。

本当に反省してる………タレントとして最低だった。」



「ﾊｧ………ったくさ、そんな余裕無くなるまで自分追い詰めんなよ。

………知ってるよ。こんなくそ忙しいのに毎日康二の病院行ってんの。今必死でやってる勉強だって、全部全部康二のため、それはわかってる。

わかってんの。

でもお前まで倒れたら、意味ねぇんだよ」









阿部は、ぎゅっと唇を噛み締めた。

右目から一筋だけ、本当に一筋だけ綺麗に涙が流れていた。

阿部「俺さ………」





その時、勢いよく病室のドアが開いた。

息を切らして、アニメのTシャツを着たあいつが入ってきた。

ここが病院だなんて関係ないくらい、バカでかい声で叫ぶ。





佐久間「阿部ちゃん！！！」









佐久間ならきっと、何とかしてくれるよね。

いいシンメだよ、阿部と佐久間。


.

64→←62

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す