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『いやいや…照がさ、俺のためにご飯作ってくれたの。かの有名なヒーチャーハン(笑)
これ腹いっぱい食べたら夜も寝れるんじゃないかって。』
「へぇ…あの時の照が、手作りご飯ねぇ…。」
信じられないという風に大きな瞳を瞬く佐久間だけど、当時の俺も同じようにしっかり驚いた。
普段から優しいけど私生活に干渉することは滅多になかった照が、自分のためにご飯を作ってくれたなんて。
体に直接染み入るような歯ごたえのあるキャベツをかじると野菜の甘味とちょうど良い濃さの味付けが口いっぱいに広がって。
ガチガチに固まっていた心がゆっくりとほぐれていき、代わりに戸惑いと嬉しさに胸がいっぱいになったのを今でもよく覚えてる。
『笑うと目がなくなっちゃうの、照って。』
「うんうん。」
『踊り出すとしっかり決めてくんのに、普段は美味しそうにチョコばっか食べてさ。』
「んー?」
同意しかねるのか、佐久間の反応は鈍い。
けれど俺は俺でスイッチが入ってしまったので構わず話を続けることにした。
『あと照って以外とめっちゃ食うじゃん。
トレーニングとか関係なく好きな物を幸せそうに食べる照も、珍しく年下らしくて可愛い。』
「…可愛い、ねえ〜。」
『あ、もちろん基本はかっこいいけど。
照てすげーお洒落じゃん。康二とは違うお洒落。シンプルでスタイリッシュっていうか。
照に連れられて行く飯屋とかもいちいち良くて、見た目だけじゃなくてそういうとこもかっこいいなぁとは思う。』
「…俺連れてってもらったことないけどね。」
『え、そうなの?』
「うん」
『それはおれ、誘いやすいのかな。よく康二とか河合くんとか事務所の色んな人と飲みに行くし。
だから照も色々買い物とか連れまわすんだと思うけど。」
フォローのつもりだで言ったのに、なぜか胸がちくんと傷んだ。
『仕事の話も、相談し合ったりするし。』
なぜだろう。痛んで、今度は風が吹いたようにすーすーする。
「ふっかが誘いやすくて相談しやすいだけでそんなことすると思う?」
わからない。照はいつもみんなに優しいから。
こちらに向けてくれる優しさが自分限定だとは到底思えない。
長すぎる付き合いが故に、相談相手は俺って概念でしかなくなったのか、照は。
「そんなんふっかのことが好きだからに決まってんじゃん。」
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作者名:雪 . | 作成日時:2022年5月5日 1時