空色ホットライン (ページ3)

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『うわお。』

思わず零れた心からのファーストインプレッション。

それからすぐ、同じフロアにいたスタッフが一斉にピタリと動きを止めてこちらを見やる。
わんぱく佐久間といえど、立派な成人男性。

そんなやつが職場で勘違いされそうなセリフを大声で叫んだもんだから、
スタッフさんはそりゃ不信感、なんなら不快感だろう。

そんな空気も露知らず、「聞いてる？」と佐久間がさらに繰り返す。

「カラダだって、」

『ばっか！でけぇよ！聞こえてるから！』

この場の全員に。

慌ててコーヒーを入れた紙コップを下ろした代わりに立ち上がる佐久間の両肩を掴んで、とりあえずそこに座らせた。

まだ不満の収まらぬ佐久間が「あと顔だって！」と、プリプリと怒ったように口を尖らせた。

「ひどくない？」

『褒められてんだから別にいいじゃん。』

「む…！恋人に“どこがすき？”って聞かれて今更外見のこと言うかね！？

なんかもっとさぁ！ふっかなら違うとこ言わない！？」

『は、俺？』

ソファの背もたれにぐだっと身体を預けて足をブンブンと振る佐久間。
ここまできたら、コイツが今年で30歳なんて言っても知らない人は絶対信じないだろう。

目の前のそれは完全に駄々をこねる小学生。

いや、今時小学生でももっとマシな発散してると思うわ。

「照のどこが好きって聞かれたら！」

だからなんで照？と、冒頭の質問を繰り返そうとしたが、なるほどこの話にはそういう背景があったのねと納得してすっと言葉が消えてしまった。

代わりに何か言わないと…えっと、照の好きなとこの話だよな。

『…やっぱり振り？そう、振り付けのセンスじゃね？』

「あー、照の振り最高にイカしてるよね。」

『そーそー。マネとかできるもんじゃないじゃん。唯一無二で。』

佐久間の圧に負けてなんとか捻り出した答えに自ら頷くが、
今の佐久間はそれでは満足せず、「他には？」と、さらにまん丸の瞳を輝かせた。