空色ホットライン (ページ1)

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Side F ページ1

Side F .

「ふっかはさぁ、照のどこが好きなの？」

不意打ちの質問に思わずコーヒーを吹き出した後、
『…へぁ？』と、我ながら間抜けな返事をしてしまった。

決して照の髪が好きということではないんだけど。
口に出したらダダ滑りだろうからこれはまぁ言わないけど。

俺の反応なんか意に介さず、きったねー！とケラケラ笑うのは俺と同じく事務所の憩いスペースでハンモックに揺られながら撮影を待つ佐久間で。

そばにあるタオルで慌てて服を拭くにもあとの祭り。
お腹のところについたコーヒーの茶色いシミはじわっと薄く広がっている。

あーこの白シャツお気に入りだったのにとか、でも先輩から貰った服じゃなくてまだマシだとかそんな思考は頭の端で、真ん中にあるのはさっきの佐久間からの唐突すぎる質問についてだ。

『なんで、照…？』

「え？だってふっかは照のこと好きでしょ？」

『…好きなんだけど…それはちょっと違うじゃん。』

好きか嫌いかと言われれば当然好きだよ？

十何年も一緒にいれば最早腐れ縁だ。
長い年月を同じ場所で、同じ方向を向いて戦ってきた仲間。

その中でも責任感が強くてリーダーの照と、その大きすぎる背中をたまにそっと押すだけの俺。

役割の比重は違えど、同じSnowManという看板と居場所を守ってきた相棒だ。

嫌いなんてとんでもない。

いつもヘラヘラしてる俺にあっちが呆れて嫌いになることはあるかもしれないけど、俺の方からその感情が生まれることは一生ないだろう。

それでも尚、俺からの言葉を待つ佐久間は皮肉にもストローを吸ってタピオカを飲んでいる。

…正直これ以上の返答はないし。困るし。
なんで突然照なのか。

ただでさえ大きな目をさらにあけて、じっとこちらを見つめる素直な佐久間。

こういう時のニコニコポーカーフェイスの心情はなかなか読み解けるものではない。