ふっかとふうか ページ12
次の週末の夜、最寄りから３駅離れた待ち合わせの場所に到着した。
『…。』
視線を落とす。今の自分の格好は、もう恥ずかしいを通り越して嫌悪感まで抱く。
七分丈の黒のトップスにベビーピンクのロングフレアスカート。
女物の小さな手持ちバッグに、この前の鎖骨までの女物のウィッグ。
骨ばった首や脚をうまく隠した上に俺自身の色白と華奢な体つきが助けてくれて、
目の前のショーウィンドウに映る俺は見事に女の“ふうか”だ。
岩「ふうかさん。」
上から声がふってきて、見上げるとそこには私服姿の照が立っていた。
『あ、こ…こんばんは。』
岩「こんばんは。遅れてすみません、道路が混んでて…。」
『いや…遅れたってまだ約束の時間の５分前ですよ…？』
岩「…ふふっ。」
『え…？』
岩「あ、いや…まさかふうかさんが食事の誘い受けてくれるって思わなくて…
嬉しくて。また会えて嬉しいです、ふうかさん。」
ありがとうございます、と笑顔で俺を見つめる照。
その顔は何年も一緒にいる俺でさえ見たことのないくらい優しい笑顔で。
嬉しいはずなのに、複雑な気持ち。でも目の前で久しぶりに見た私服の照はやっぱりスタイルも良いから余計お洒落に見えてかっこいい。
少し赤らんだ顔を隠すように俯いた時、また自分の今の服装を見てはぁと小さくため息をつく。
こんな状況になったのもメールのやり取りを始めて２週間ほど経った頃、
照から食事の誘いを受けた俺が原因だった。
最初こそやんわり断ってたけどいつのかにか押しの強い照に流されて約束を取り付けてしまって…
康二にまた相談してからは話が早く、服やら何やらあっという間に準備してくれて康二の知り合いの美容師の人にメイクもばっちり施してもらって今に至る。
康二曰く、「とりあえずご飯行ってみぃや！どうするかはそこから考えようや！」らしい。
今まで以上に不安もあるけど、なぜか俺はそんな康二の意見に乗ってみることにした。
岩「行きましょうか。」
『あっ、はい…！』
俺の歩幅に合わせてくれる照についていく。
そういえば歩幅は男の俺の時でも合わせてくれるんだよなぁ…
ヒールが怖くてトコトコと小幅で歩く俺に何も言わずに自然と合わせてくれるのが照なりの優しさで、胸がぽうっと熱くなる。
俺の早まる心臓の鼓動と同じリズムで足元のヒール音は響いていた。
あぁもう、どうにでもなれ…。
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ゆきんこ(プロフ) - 舞彩さん» コメントありがとうございます！！！暖かい言葉がいただけて嬉しすぎます(*^_^*)これからも楽しんでいただけるように執筆も頑張りますので、見ていただけたら嬉しいです！！素敵なコメントありがとうございました！！ (2020年7月12日 15時) (
レス) id: 9366bbf9ec (このIDを非表示/違反報告)
舞彩 - 最高でした！ (2020年7月8日 16時) (レス) id: f7fb87f278 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - ジャニーズさん» コメントありがとうございます！いわふかほんと、えもえもですよね(*^_^*)いわふかの作品もまた執筆させていただこうと思っております！この続きになるかは悩んでるのですが、また執筆したらよろしくお願いします(；；)素敵なコメントありがとうございました！！ (2020年5月30日 16時) (レス) id: a4db884c5e (このIDを非表示/違反報告)
ジャニーズ(プロフ) - 本当に最高でした！！！！！！いやがいわふかめちゃくちゃエモイですね、エモすぎます笑番外編も最高でした！！！！これからも続き楽しみにしてますとか言っちゃって笑 (2020年5月21日 14時) (レス) id: 13f56b0528 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - ゆさん» ゆさん！いつもありがとうございます！温かいコメントのおかげで書ききれました…！楽しんでいただけでよかったです！！番外編と新作の短編もよかったら覗いてください！感想等気軽に教えていただければ嬉しいです(*´-` (2020年5月18日 17時) (レス) id: a4db884c5e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雪 .
| 作成日時：2020年4月24日 23時
