うまくいかない【東海オンエアりょう】 (ページ18)

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「さ、入って。」

「お邪魔します…」

足取りが重い私とは反対に、テキパキとコートを脱ぐりょうくん。

「さ、Aも脱いで。マフラーもここにかけとくね。って…え！」

「な、なに？！」突然の大声にビクッと肩が跳ねる。

「髪の毛切ったの？！」

「あ、あぁ…。うん。今日切ってきたんだ。なんか…」気分転換がしたくって…と語尾がどんどん小さくなってしまう。

「マフラーで隠れてたから全然気付かなかったよ。それに気分転換ってさ…。」りょうくんが言葉を探す。

「気分転換っていうのは、俺のせいだよね？」しょんぼりと聞かれると、胸がキュッと痛む。

「違う違う！りょうくんのせいとかじゃな…「A、ごめん。」

「えっ…？」「ごめんね。」落ち込んで謝るりょうくんの姿を見ると、伝えたかった怒りの風船がとたんにしぼんでしまう。

「りょうくん、顔あげて？」

「A、教えて？俺が友達たちを家に呼ぶの、嫌だった？」

「えっ…と…。嫌…ではないよ。楽しい日も、もちろんあった。でも…。」

りょうくんは目線で、続きを促す。

「二人きりでいたいときもあった…。」

「そう…だよなぁ…。俺もだよ。俺も、Aと二人で過ごしたい時いっぱいあったんだよ。」信じてもらえないかもしれないけど…。と悲しそうにりょうくんが笑う。