うまくいかない【東海オンエアりょう】 (ページ15)

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「やっちゃったなぁ…」

どうして私はいつもこうなんだろう。

甘えることが出来ず、言葉を飲み込んでしまう。

「長男だから我慢できるんだ！」と大人気漫画の主人公は言っていた。

「長女だからかなぁ…」いや、関係ない。私だからだ。

甘えることが迷惑になるかも知れない、伝えたら嫌われるかも知れない。全てが自分を守るために動いている。

自分のせいで余計に事をこじらせてしまったことは理解していたが、傷ついた心がそれを直視しない。

「元はと言えばりょうくんが…」と独り言を言うと電話が鳴る。

ビクッとはねてディスプレイを確認すると、そこには最愛の人の名前があった。

「はい…」

『あ、A？ごめん。今撮影終わった。A明日休みだよね？今からうちに来てもらえる？」話がしたい。と真剣な声で言われ、身構えてしまう。

(別れ話だったらどうしよう…。)不安を悟られないよう「うん、わかった。今から行くね。」といつも通り答える。

「本当はそっちに行きたかったんだけど、家でやらなきゃいけない宿題があってさ。もう夜遅いし、危ないからタクシー使ってね。わかった？」

自転車で行こうと思っていた心が読まれたのかと驚く。

しかしこれ以上りょうくんと揉める材料を作りたくない私はしぶしぶ了承した。

素直にタクシーを呼び、りょうくんの家へ向かう。