猫は気まぐれ、世は情け ページ9
「お、シッマやん。今日は訓練来なかったな」
「連日無理しすぎてな、体バキバキやねん」
大先生と一緒に食堂へ向かえば、訓練終わりなのか汗をひとしきりかいているシャオロンがいた。
幹部は各々食べ始めており、俺も配膳を済ませ席に着いた。
「……」
正面の空いた席を見て、今は亡き彼女の顔が脳をよぎる。
所作がいちいち綺麗な女だった。軍人なんかにならなければ、人並み以上の幸せを手に入れられるであろう女だった。
そんなことを、彼女に質問したことがある。
”なあ、なんでココきたん？”
”…別に、ここに来て幸せを手に入れようってんじゃないわ、だってここは戦場の最前線なんだから”
”じゃあ、なんで？”
”私、人並み基準の幸福じゃ満足出来なかったの。”
強欲でしょう？と言いながらからからと笑う彼女は、とても綺麗だった。
何ともAらしい答え方だった。確かにお前は、普通の女やなかったな。
”…だから、感謝してるの”
”私を連れ出してくれたグルッペンにも、楽しませてくれる君らにも”
”……そりゃ、良かったわ”
あー、だめやな。
大切な人が死んでから、より大切に思うなんて。どれだけ手を伸ばしたところで、届かないのは分かりきっているというのに。
天国や地獄なんて、あまりにも理想論。死に恐怖した昔の人々が、勝手に作った都市伝説に過ぎない。
……けどもし、そんな理想があるんだとしたら。
「(お前は地獄行きやろな)」
その時、インカムが何かを受信した。
食堂を出て応答すると、気怠げそうな後輩の声が聞こえた。相変わらず無愛想やな
[あ、先輩っすか、ちっす]
「どしたんや急に、珍しいな」
[いや、怒らないで聞いて欲しいんすけど]
ホンマに珍しいな、こいつが俺に対して下手に出るなんて。少しうきうきした部分もありつつ、抑揚を抑えながら言葉を待った。
[先日亡くなられた幹部サマ、いるやないですか]
「…おん、」
[その人の部屋のベランダに探しとった猫がいたもんやから、つい嬉しくなって登ったんすよ]
[その……
_________幹部サマの心電図？みたいなの、動いとるんすけど]
[見間違いやったらすいません、でもなんか……？先輩？]
どくん、と散々ないと言われた所が脈打つ。
痛くなるそこを抑えながら、食堂の扉を開き、我ながら小さな声で言い放った。
「Aが、生きとる、かもしれん、」
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らてゃいぅ。(プロフ) - あさん» そう言っていただけて嬉しいです！！☺頑張ります💪 (5月6日 14時) (
レス) id: 18a63bb57c (このIDを非表示/違反報告)
あ - すっごく面白いです！！これからも頑張ってください！！応援してます！！ (5月6日 2時) (レス) id: 597af49ddb (このIDを非表示/違反報告)
らてゃいぅ。(プロフ) - アイリスさん» はい！お試し的なのでこの作品だけ解除いたしました！何かあればまた鍵かけることになりますが…… (3月28日 20時) (レス) id: 18a63bb57c (このIDを非表示/違反報告)
アイリス(プロフ) - あれ、、、鍵、解除されました？ (3月28日 16時) (レス) id: 99053433ca (このIDを非表示/違反報告)
らてゃいぅ。(プロフ) - 森の変出者(ﾝｼｬ)さん» コメントありがとうございます。自分に休息を作りつつ、皆様に最大限の物語をお届け出来たらと思います。温かいお言葉本当にありがとうございます！これからも頑張ります💪 (2月22日 21時) (レス) id: 18a63bb57c (このIDを非表示/違反報告)
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