後悔先に立たず ページ8
無我夢中になって訓練していた時、不意にインカムから、ひとらんの声が聞こえた。
[夕飯出来たよ、食うやつは早く来て]
そういや、今日の飯当番ひとらんやっけ。
シャベルを下ろし、汗を拭う。当然ハンカチやタオルなんて持参していないため、服が汗臭くなる。
時計を見ると、もう7時半。ほぼ一日中訓練しとったんか……実のない訓練やったな。
「……」
”シャオロン、あんたの武器はシャベルなんでしょ？なら当然振りかぶったところを狙われるんだから、意識して訓練しなきゃ意味ないよ”
”分かっとんねん……でも、どうしても大振りになってまうし”
”……しゃーないなぁ、”
いつの間にかその辺に座って、なんだかんだ言いながら的確なアドバイスをくれる彼女はもう居ない。もうあの体温を、感じることは出来ない。
人が死んだ時、1番先に忘れるのは声だと誰かが言った。そんなことは無いだろと思っていたが、いざこういう場面に出くわすと、そうでも無いらしい。
きっとこうやって、顔もなにもかも、分からなくなっていくんだろう。
「……A、」
答えてはくれない。でも、こうして彼女の名を呟かないと、どんどん忘れていってしまう。
それは、嫌だった。どうしようもなく、嫌だった。
「……ここ、やったっけ」
すとん、と、Aがよく座っていた場所に腰を下ろす。ただの訓練場の、1部。なにか特別なものがあったわけでは、無いはず。
涙が出そうになり、見られる訳には行かないと下を向くと、一輪の花が咲いていた。
「あ、」
”Aが好きな花でも、”
ふと、兄さんの言葉を思い出す。
花に詳しくない俺でも知っているような、有名な花。ここの男連中でも、皆1度は聞いたことがあるであろう花の名前。
「カーネーション、やっけ」
紫色の、和紙をくしゃくしゃにしたような柔らかい花。少し茶色く枯れかかっていて、もう二、三日もすれば、完全に枯れてしまうだろう。
「……これは流石に、あげられへんし」
どうせ枯れてしまうのなら。
ぷち、とカーネーションをとり、その紫色をなんとなく見つめる。花言葉とか俺はわからんから、なんでAがこの花が好きだったのかも分からない。
……まずそも、Aの好きな花がこれっていう確証がないけど。
おれ、こんなのも分かってへんかったんか。
「……もっと、見ればよかったなぁ」
後悔なんて、するもんじゃない。
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らてゃいぅ。(プロフ) - あさん» そう言っていただけて嬉しいです！！☺頑張ります💪 (5月6日 14時) (
レス) id: 18a63bb57c (このIDを非表示/違反報告)
あ - すっごく面白いです！！これからも頑張ってください！！応援してます！！ (5月6日 2時) (レス) id: 597af49ddb (このIDを非表示/違反報告)
らてゃいぅ。(プロフ) - アイリスさん» はい！お試し的なのでこの作品だけ解除いたしました！何かあればまた鍵かけることになりますが…… (3月28日 20時) (レス) id: 18a63bb57c (このIDを非表示/違反報告)
アイリス(プロフ) - あれ、、、鍵、解除されました？ (3月28日 16時) (レス) id: 99053433ca (このIDを非表示/違反報告)
らてゃいぅ。(プロフ) - 森の変出者(ﾝｼｬ)さん» コメントありがとうございます。自分に休息を作りつつ、皆様に最大限の物語をお届け出来たらと思います。温かいお言葉本当にありがとうございます！これからも頑張ります💪 (2月22日 21時) (レス) id: 18a63bb57c (このIDを非表示/違反報告)
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