神も仏も所詮虚像 ページ5
影響力のある子だった。
よく話に聞くようないい子ちゃんではなかったけど、憎めない、いいキャラの子だった。
ぼーっと空中を見つめながら、紫煙を吐き出す。
「……怖かったかな」
弱い子ではなかった。でも、死ぬのは怖いんかななんて、勝手に思う。俺だって、死ぬのは怖い。寿命を現在進行形で縮めているけど。
「……俺、なんでここおるんやろ」
Aちゃんのいない今、仕事は山のようにあるはず。国民にこのことは公言していないが、いずれバレるだろう。どう伝えるかは知らないが。
少しでも手伝って、減らさないといけないのに。なのに、地縛霊かのようにここから離れられない。動く気力というか、思考が働かない。
なんで、Aちゃんが、死んだんやろ。
僕が、
「！！ｯ、何考えてるんや、俺は、ｯ！」
Aちゃんは、俺の死の口実のために死んだんじゃない。ちゃんと責務を全うして、死んだんだ。
でもその言葉は、俺にとってあまりにも重すぎる。
「……あれ、大先生やん」
「シッマやん、訓練終わり？」
「そんなとこやな。なんや、また逃げてきたんか？」
「そんなとこやな。」
「真似すんな笑」
この一コマだけを切り取れば、いつもの毎日に見えるのだろうか。
俺らがいつもの毎日を過ごしていれば、しれっと、Aちゃんが戻ってきたりはしないのだろうか。
「……量増えたなぁ、大先生」
「……なあ、シッマ」
「Aちゃんは、なんで死んだんかな」
「そりゃお前……心機能が停止したからやろ」
「そういうんやなくてさ」
なんで、死ななきゃならなかったのか。
もし神様とやらがいて、死ぬ人間を決めているのだとして。
その選択は間違いだったと、俺は言うだろうか。
「……人はいつか死ぬ、医療限界や。そん中でも俺らは、死のレースの最先端を突っ走ってて、Aはゴールしたんやろ。」
「ヘマでもなんでも、人は死ぬ、簡単に。どれだけ頑丈であろうと、いつか死ぬ。絶対に。」
「そのいつかが、Aは、早かっただけやろ」
冷静に言って、淡々と語って、気にしていないかのようにいつものルーティーンを過ごすくせに。
俺は知っている、コネシマのタバコの銘柄が、彼女と同じものになっていることに。
「……そっか」
もし神様とやらがいて、死ぬ人間を決めているのだとして。
その選択は間違いだったと、俺は言うだろうか。
否、その前に
俺は神を殺すだろう。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 698人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
らてゃいぅ。(プロフ) - あさん» そう言っていただけて嬉しいです！！☺頑張ります💪 (5月6日 14時) (
レス) id: 18a63bb57c (このIDを非表示/違反報告)
あ - すっごく面白いです！！これからも頑張ってください！！応援してます！！ (5月6日 2時) (レス) id: 597af49ddb (このIDを非表示/違反報告)
らてゃいぅ。(プロフ) - アイリスさん» はい！お試し的なのでこの作品だけ解除いたしました！何かあればまた鍵かけることになりますが…… (3月28日 20時) (レス) id: 18a63bb57c (このIDを非表示/違反報告)
アイリス(プロフ) - あれ、、、鍵、解除されました？ (3月28日 16時) (レス) id: 99053433ca (このIDを非表示/違反報告)
らてゃいぅ。(プロフ) - 森の変出者(ﾝｼｬ)さん» コメントありがとうございます。自分に休息を作りつつ、皆様に最大限の物語をお届け出来たらと思います。温かいお言葉本当にありがとうございます！これからも頑張ります💪 (2月22日 21時) (レス) id: 18a63bb57c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
