しょうれん短編集

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*紫耀


『いや、やっぱはずいな..』


「へへ。久しぶりにひとりじめや..」


『ほんま今日でれでれやな』


そんなんゆうたあかん。

顔を見られないのをいいことにめちゃめちゃニヤける。


やっぱり俺のかわいい弟。昔「しょおしょお」ってどこ行くにもひっついてきた廉が今またここにおる。


そう思うと俺の母性が出てきちゃって、頼まれてもないのに頭を撫でた。


すると、廉はされるがままに消え入りそうな声で「おれ..しょぉがすきやねん..」と言った。


驚いて撫でていた手が止まる。


廉は、なんで？という風に見上げてきて、やってと自分で俺の手を頭に持っていく。


戸惑いがすごいけどとりあえず撫でるのを再開すると満足そうにまた話す。


「しょおはなぁ、かっこいいしな、優しくてな、おれのお兄ちゃんみたい。

からだもがっしりしてるからな、抱きしめてもらったらな、守られてる感じがしてな、安心するねん..」


眠そうな目を俺に向けながらふわふわと話す廉。


驚きと照れと戸惑いと恥ずかしさと、、何も言えないがめちゃめちゃ嬉しい。


また俺の胸に顔を埋めて、廉は続ける。


「...ぉれ、ほんとはしょぉひとりじめしたいねん...

かいととかじんとか、しょおのちかくおるのずるぃ...

まえまで、しょおはおれだけのやったのに...

もっと、しょぉにぎゅーしてほしいのに...

しょぉのぎゅー、ひとりじめしたぃ..

今日だけでもいいから...」


くぐもった声が胸に振動する。

俺のドキドキはバレていないだろうか。


「優太優太」の廉がこんなことを胸に秘めていたなんて、なんて可愛いのだろう。


『え、へへ..ふはっ、廉はまだまだ甘えんぼさんやね。』


「んん...ほんとうはしょおはおれのやもん...」


『廉..ふふ、廉は特別やからな。いつでも抱きしめたるからおいで』


もう、ニヤケをこらえるのに必死だよ。


海人という自分より年下で甘えん坊な存在が出来て、廉の中で葛藤をする中で甘えてられないって気持ちが強くなったんやろうね。

それは分かるから、『前みたいにどんどん甘えておいで』とは敢えて言わないけど、廉のタイミングで甘えておいで。しっかり受け止めるから。


「しょぉ..すきぃ...」


『ふふっ』


ぎゅうっと抱きつく力を強めて、すりすりと顔を俺の胸に擦り付ける。


廉が望むならいつだって廉だけのお兄ちゃんになってやる。

いっぱい俺からの愛情受け取るんやで？

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