しょうれん短編集

金縛り ＊廉 ページ2

*廉


最近、舞台に生放送に収録に、ロケも多くて実は軽く風邪を引いたりして、体力的にしんどいなと思い始めていた。


小さなミスを連発してしまって、そこから体力的にも精神的にもどんどんしんどくなっていった。


そんな時に、紫耀と二人で泊まりでロケに行くことになった。


朝早く出発して現地に着いたのは昼前。


そこから名物を堪能しながらロケを一旦終え、夜に再びロケをして無事1日が終わった。


ホテルに戻ったのはすでに夜中の2時を回っていて、紫耀も俺も疲れ切っていた。


すぐに順番にお風呂に入り、3時前には眠りについた。


でも、布団に入ってから色々考えてしまってなかなか寝付けずにいた。


ランプを挟んで隣のベッドでは紫耀がスースー寝息を立ててすっかり寝てしまっている。


もう一回目を瞑ってはみるけど、やっぱり考えてしまって知らん間に眉間にシワがよっているほどやった。


ずっとそんな感じでいたら、遠めにザーッと血が流れるような音が聞こえて、

それが"うるさい"と気づいたら、更にザワザワと不気味な音が大音量で俺の耳を支配した。


と、同時に体も動かなくなった。


以前どこかで『金縛りにあうとザワザワとした音が聞こえる』と聞いたことがあったから、自分が今金縛りにあってるのだとわかった。


分かったら分かったで初めてなるから怖くて堪らなくて、目を開けてしまったが最後、

鬼のような形相で血だらけの悪魔のような長い髪の女の生首が真上にあった。


怖いとかそんなどころじゃなくて、頭はパニック。


なのに『助けて』って言おうとしても、どれだけ頑張って顎を動かそうとしたところでカタカタと震えるだけで鈍器のように重く、口は接着剤で固まったように動かない。


それにさらにパニックになり、声を出そう出そうとする程に鼻から出る息も荒くなって、恐怖だけに包まれた。


頭からどれだけ指令を出しても身体は1mmたりとも動かない。


本気で目の前のお化けにどこかに連れて行かれるんやと思った。


こわいっ･･････助けて･･････っ

いややっ来ないで･･････！


すると、パッと緊張が解けて身体が動くようになった。


バッと起き上がって安心したのも束の間、すぐに金縛りにあったという恐怖が押し寄せてきて、再びパニック。


暗いのが怖くて怖くて涙はボロボロ出るし、息はうまくできない。


「はあっ･･･ﾋｭｯ、はあっ･･･ﾋｭｯ、こわ、ｯｯ、ﾊｧｯうぅぅﾋｸｯ、はぁっ･･････」

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