[第38話] 家族 ページ14
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ダニー「レイチェル。
今日は少しだけ深く話してみてもいいかな。」
レイ「……。」
ダニー「大丈夫、恐れることはないよ。」
レイ「…。」
ダニー「……じゃあ、そうだな…
君にばかり聞くのは悪いから、僕の話でもしようか?」
レイ「…」チラ…
ダニー「……あ!
こっちを見てくれたね!
やっぱり君はすごくキレイな目だ!」
ダニー「…あのね、実は僕の片目は義眼なんだよ?
生まれつき片目がなくてね。
子供の時は母さんがそれを酷く気に病んでた…
病んで病んで、とても暗い目をしていたよ。
暗くて静かな目は…いつしか子供の僕さえ映さなくなっていった。
でも僕は____そんな母さんを愛してた。
その瞳が愛おしかったんだ。
ねぇ、レイチェル。
君は____ご両親が憎かったかい……?」
レイ「……いいえ。」
ダニー「ではどうして、
切ったり縫ったりしたのかな。」
.
レイ「……。
…が
___家族が欲しかったの。」フフッ…
ダニー「ーーーーーーーーー…
…そう。
きっかけはなんだったのかな。」
レイ「……きっかけ…?
…なんだったかな……
…あぁ、そういえば。
家の近くの路地で子犬を見つけたんだっけ………」
レイ「小さくて、可愛くて、でもとても弱っていて。
私、その子犬がとても欲しかったの。
だけど……勝手に家に持って帰ったら怒られるから……
先に家に帰って子犬のことを話そうと思っていたの。」
____レイチェルside.
家の玄関を開けると、いつも通り沢山の瓶やたばこの空き箱が落ちていて。
そして床には血がこびり付いていた。
…いつも通りの光景。
レイ「……ただいま。」
父「あぁ、どうしてお前はそうやって……俺にはむかうんだっ!!」
母「だってアルコール中毒者の言うことなんて誰が聞くって言うの?」
父「俺は働いて帰ってきたんだ、帰りたくもないこの家に!!」
母「うふふ……エラそうに何を言うの?
あなたみたいな警官なんて誰にも必要とされてないのに……」
父「あぁうるさい!
酒よりもお前の言葉の方が毒だ…!!」
母「痛いわ……やめて、やめて…」
レイ「…今日はキッチンにいるな。」
父「お前みたいな精神を病んだ嫁をもらった俺は不幸だよ!
それはお前の存在が不幸だからに違いないんだ!
なぁどうしてお前はこんなに不幸なんだろうなぁ……!?」
母「あぁあ!!
あなたが私をこうしたのよ!
あなたのせい、あなたのせい…!」
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作者名:春猫 | 作成日時:2020年12月11日 19時