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ザック「それがありゃあ十分だ。
おい貸せよ。」
___ヒュッ
ザックはナイフを一振した。
扱いには慣れてるみたい…。
ザック「よし……これなら思うように使える。」
レイ「そのナイフはザックの?」
ザック「あぁ、元々は鎌じゃなくてこっちが俺の持ってたもんなんだよ。」
レイ「ザックは…あの部屋で過ごしていたの?」
ザック「……そーだけどよ、それがどうした?」
レイ「…なんとなく気になって。」
ザック「…あ?」
レイ「……私、ザックのことを何も知らない。
だから…なんてだろう、気になったの。」
ザック「なんだよそれ、意味わかんねえ。」
レイ「あの…でも……あの部屋もう少し掃除してもいいと思う。」
ザック「うっせえな!
もう戻らねえんだからいいだろ!」
レイ「あ、そうだ。
この紙、ザックの?」
私はついでに拾った紙をザックに渡した。
ザック「!
これは、俺のだ。」
レイ「ザックがこんなの残してるのなんて中々ないんじゃないかって、持ってきたの。」
ザック「…そーかよ。」
レイ「…一つ、聞いていい?
それは誰からなの?」
ザック「……。
知らねぇ。」
レイ「え?」
ザック「知らねぇというか、覚えてないだけだ。
ガキの頃に貰ったやつだからな。
___でも、これだけは宝物だ。それは覚えてる。」
レイ「…そう、なんだ。」
ザックは笑っていた。
いつものような笑いじゃなくて、本当に愛おしいものを見るように…
それだけ言うとザックは大切そうにポケットにしまった。
ザック「はぁ…そろそろ行くぞ。
薬があろうとなかろうと進むしかねえ。」
レイ「待って、まだ動いちゃダメ。」
ザック「しつけぇなぁ。あんだけ寝ればもう動ける。」
レイ「ならせめて、ザックの傷を縫わせて___」
ザック「やめろ…!」バシッ
レイ「ーーーーッ」
ザック「俺の身体に触るな、何もすんな!
…んなことしなくても俺は死なねぇよ。」
ザックは私の手を払い除けた。
そして叫んだため、呼吸を荒らげている。
レイ「…、…。」
ザック「なんだお前……
ここに来てから妙な顔しやがって。」
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作者名:春猫 | 作成日時:2020年11月27日 7時