拝啓、15の君へ (ページ10)

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【逢】ページ10

深澤「…大丈夫なの？優愛は。」
『…大丈夫じゃないけど、いつかはちゃんと向き合いたかった。』
深澤「そっか。…じゃあ、俺ももしよかったら挨拶させて欲しい。」
『…上手くいったらね。』

事務所の人に言って、会う場をセッティングしてもらい、待ち合わせ場所に行く。

『…久しぶり。』

久しぶりに会ったお母さんは、どこかスッキリしていた。

母「…元気だった？」
『…うん。』
母「よかった。」

母「…ごめんなさい。」
『…え？』

母「…あなたが生まれてきた時、可愛くて。
…優しい愛に包まれて生きて欲しい。そう思って、優愛って言う名前にしたのに。
…それなのに私は、お父さんへの恐怖心からあなたのことを傷つけてしまって。
辛い思いをさせたね。」
『…お母さん泣』
母「…実はね、あなたが出て行ってから、離婚して。
今は1人で生活してるの。…そしたら、あなたが会社を退社した話が耳に入って。
…それで心配になって連絡したの。」

お母さんも辛かったんだ。
そう思ったら、恨みたいのに、恨めなくなった。

母「愛し方も今更わからないけど。…とにかく、あなたは貴方らしく生きて。」

『…お母さんも元気に過ごしてね。

それと。…今日は紹介したい人がいるの。』

深澤「初めまして。深澤辰哉と言います。」

母「優愛の母です。

…貴方、優しそうな人を選んだわね。」

『…うん。』

母「私はこの子のことを十分愛す事ができなかったから…。
貴方たち2人でどうか支え合って生きて。
…それと。深澤さんも抱えすぎないでね。なんだか、いつかの優愛にそっくり。」
深澤「…はい。」

『じゃあね。元気で。』
母「…元気で過ごすのよ。」

お母さんに会えてよかった。