拝啓、15の君へ (ページ11)

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【苦】ページ11

深澤「少し遅くなる。」

あれから2週間ほど。

深澤さんがそう言って帰りが遅くなったり、用事を断る日が多くなった。

それと同時に、深澤さんの元気はいつしか無くなっていった。

…きっと。また1人で抱えてる。

…1人で抱えるのが一番辛いのに。

今日は、深澤さんと岩本さんの送迎担当。

…けど、一向に深澤さんが出てこない。

『…深澤さん、遅いですね。』
岩本「…部屋、見てこようか？」
『…私も行きます。』
なんだかものすごく嫌な予感がしたんだ。

深澤さんの部屋に入ると、そこにはリスカをした後らしきものや、カップラーメンの残り。
…深澤さんはいなかった。

『…探さないとっ、だめ、いなくなっちゃダメ泣』
岩本「空ちゃん！」
岩本さんの言葉ではっとする。
『…とりあえず、事務所に連絡します。』

心当たりがある場所は一つ。
…あの日の屋上か、海、か。

…けど、きっとあの場所だ。

今日オフのメンバーにも連絡を入れて、探してもらうようにお願いする。

…間に合って。
お願い。
いなくならないで。

階段を駆け上がる。

屋上に着くと、フェンスに手をかけた深澤さんがいた。

『深澤さん！』

深澤「優、愛…。」

『…助けてって。そう素直に言って欲しかった。』
深澤「…。」

『…あの日、深澤さんに助けてもらった時。
愛が見つからなかったらっ、その時は一緒に楽になろう。
…そう言ったよね。』

深澤「最近、また苦しくなっちゃってさ。
…俺が不必要な存在なのは分かってる。でも必要としてる人がいるのも分かってる。
…だからさ、幸せだなぁ…って思うほど、離れられなくなった泣
失いたくなかった泣だから、楽になろう。そう思った…泣」

『失いたくなかったら離れなくていいから。自分で自分の幸せを奪わないで…泣』

『いつか深澤さんが言ってたよね。

愛は不確かな存在だ、って。

確かにそうだよ。

けど…。せめて目の前の人たちが貴方を思って泣いているのをみて、それでも貴方は愛はどこにもない。
そう言うの？

私は、貴方のおかげで、愛を知れた。

…だから、私は貴方と一緒に生きていきたい。

…深澤さんは？』

深澤「…俺もっ、優愛と一緒に生きていきたい泣」

『…頑張ったよ。』

今までの人生。

貴方も、私も。

だから今、温もりがあるんだ。