もう一度だけ (ページ4)

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3話　悲しみのその果てでページ4

部屋を出て行ったあと，なんとなく，蓮の状態を聞いてみる。

『…目黒さん，ここ最近ずっとあのような状態なんですか？』

佐藤「うん。…白川さんには言っておかなくちゃいけないことがあるから。
ちょっとこっち来て。」

そう言って誰もいない会議室に連れて来られる。

佐藤「目黒くんね，付き合ってたの。…あの子と。」

それは『私』自身の話だから知っていて当然。
だけど、やっぱり『私』は死んだんだ。
そう思って一瞬ドキッとする。

佐藤「…私ね、蒼空さんに会ったことあるの。…いい人だった。この人なら、目黒くんはきっと大丈夫。
幸せになれる。幸せになってほしい。そう思ってたの…泣
…ごめんね。私まで泣いちゃって。」

私はそれほどまでに愛されていたんだ…。

佐藤『…多分、しばらくあんな感じだと思う。
だから、白川さん、あの子達のことお願いね。』

『分かりました…。』

私は生きている。…他の人の体、だけど。
けど、それを他の人は知らない。

…私が死んだと思っている蓮は？…メンバーは？…ファンは？
…悲しみを経験したその先には何があるのだろう。
後悔？…そんな感情持っていて欲しくない。
…私は、私として最後まで生きていたのだから。

佐藤「…大丈夫だって。ほら、スマイル！」

『…スマイル。』

佐藤「そうそう！これから、みんなのところに戻るのに、あなたまでそんな顔してたら
気が滅入っちゃうし、何よりあなたの気分もよくないでしょ？
ほら、もう一度？」

『…スマーイル。』

佐藤「そうそう！…その笑顔があったらいいの。」

佐藤「はい！じゃ、戻ろっか。…みんなの練習風景、見たいでしょ？」

そう言われるがまま、佐藤さんに連れられて、私はSnowManのいる練習室に戻った。