Silent World【赤メイン】

4話　1人。 ページ5

気がついたらまたベットの上。

周りには何もない。

…退屈。

そう思っていたら、医者が入ってきて。

『精神科に行かれることをお勧めします。』

だってさ。

…そんなの、俺が一番よくわかってるよ。
俺が、知らず知らずのうちに抱え込んでるのも。
それを誰にも言えなくて、1人になってるのも。
…もうしばらく、俺が休んだ方がいいのも。
全部、全部。

無理、しすぎたのかもしれない。
いや、俺の元々の性格上1人で抱え込んだのが悪いのか。

もうちょっと頼ればいいだろうけど。
…申し訳ないけど今は誰とも会いたくない。

頭では分かってたけど、心が追いついてなかった。
心の底では、ずっと助けを求めていたのに。

多分俺は、この恵まれた環境にいるのは相応しくない。
ずっと、他の8人に迷惑をかけてしまうから。

俺は、誰にも気づかれないようにそっと1人で病院を抜け出し、
当てもなくただ歩いた。

補聴器が上手くはまってなくて、ハウリング音が鳴り響く。
いつもなら気になるけど、今はどうだっていい。

できるだけ。遠くに。遠くに。

誰にも見つからないように。

そんなことを考えていたから、車に気が付かなくて。

俺はふわっと宙に浮いて、そのまま意識を失った。

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