下を向いてもいいですか。【青葉城西】

9.これで ページ10

｢やべ、チャイムなった｣






チャイムがなって解散。結局私はあの後から喋らずまま静かにお弁当を閉じていた。






じゃあまた部活で、と別れる2人組。






ほんと、私のいる意味だよ。






明日はちゃんと、断ろう。






｢行こうA！次移動教室だった！｣






｢……競走すっべ｣







『知ってる。私教科書持ってきたもん』








忘れているだろうと思っていた二人は案の定忘れて、走って取りに行く。もちろん私も付き合わされて授業に遅刻した。








……こんなこと、初めて。








そういえば、二人とご飯を食べたこともあまりなかったし、私の前ではしゃぐなんてことも無かった2人。たまに及川が殴られる事はあったけど。








怒られて、珍しいねと笑われた。








及川はいつものことらしい。岩泉は時々。








……そして放課後。








バタバタと部活へと掛けていく生徒が窓際から見えた。








3年はもう引退している者も多く、就職やら進学やらで忙しい生徒が教室を空けていく。








……もう少しで、大会だって言ってたな。








春高。大事な大会前に、なんてことをしたんだろう私は。








｢じゃねA！｣







｢じゃーな。｣








にっこりと笑って私に手を振る2人。








本当に、違和感がない。








どう返せばいい？








そんなことを考えるのは苦手だ。








間違えれば相手は怒ったり悲しんだり。そんなのが、苦手なんだ。









流れに任せるって決めたじゃん。








そうだよ。








『うん。部活がんばってね』








ばいばい、と手を振った。








…これで、いいんでしょう？

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