31.戻っちゃうから ページ32
「嘘つき」
私の話を聞いていた隣の黒尾が呟いたのを拾ってしまった。
もういいの、とふっと頬が緩む。
ちらりと横を見ると黒尾も笑っていた。
なんだろう。そのなんでも見透かしてしまうような黒尾の目は、最初嫌いだったのに、今ではほんとに感謝している。
ありがとう、なんてこんな歳になって恥ずかしいな。こんど何か奢ってあげよう。
試合のホイッスルが鳴る。
やっぱり強いところは変わんないよなぁ、と夜久さんが呟いた。
東京の高校の試合。
実際に見たことはないけど、つまらないなんてことはない。
あー。
重なっちゃう。影。
『やっぱり、』
『____』
独り言が、2人には聞こえただろうか。
試合に集中しているみたいだった。
あれ、涙腺弱くなったのかな。目頭が熱いや。
『……ごめん、ちょっと外行ってくるね。』
「人混みに酔ったか?」
『うん、そんなとこ。涼しいとこで見とくよ』
公式の試合のためなのか人が多い。
っていうのを理由にして、外に出た。
だめだ。あんなとこいたら完全に泣いちゃう。
会いたい、そう思う裏腹に、会いたくないと思うのは、やっぱり私が弱いからなんでしょうか。
もし、会ってしまったら多分私は戻ってしまう。
大人から、子供に戻ってしまう。
変な維持を張って、無理に突き放して、また嫌われて。
『?、持ってきちゃったんだ、』
ポケットに入っていた写真。
ぽたり、写真にシミを作る。
今日は、晴れだっけ。
また見えないや。
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零 - まぁ、これは友情が尊いってことだよな、友達が自分を変えてくれたから、今の自分があるわけで、皆が、自分の事を思ってくれたから今があって…いや、待ってほんとに素晴らし過ぎて語彙力なくなる。 (2022年11月10日 23時) (レス) id: 111965e9b2 (このIDを非表示/違反報告)
琉依 - 苦しい、友情、自分がとても弱くて惨め、この小説でそんな事を思いました。自分が弱くて情けないこと、友情がとても素晴らしく、尊いこと、本当の友達がいると、上を向けること、苦しさや辛さが挑戦してみよう、頑張ろうという気持ちになることを学びました。作文神。 (2022年11月10日 23時) (レス) @page42 id: 111965e9b2 (このIDを非表示/違反報告)
カナメ(プロフ) - いい話すぎて泣きました。まじで大号泣です。なんか、もう語彙力ないけど、それほどいい話です! (2022年5月7日 3時) (レス) @page41 id: 694ea1db16 (このIDを非表示/違反報告)
岩みいる(プロフ) - ネネさん» ありがとー!!私も書けなくなるのはちょっと寂しいけど読み専で漁ることにするよ!ネネちゃんこれから頑張ってね!閲覧ありがとうございました! (2017年5月11日 20時) (レス) id: 83c5b2af5f (このIDを非表示/違反報告)
ネネ(プロフ) - みいるお疲れさま――!みいるの作品はぜーんぶ大好きで退部系は制覇しているネネ氏だよ!!みいるが卒業しちゃうのはちょっと惜しい気がするけどまぁみいるらしいっちゃらしいから問題ないよね!これからも仲良くしてね!!!!! (2017年2月11日 16時) (レス) id: 6945d4cfda (このIDを非表示/違反報告)
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