下を向いてもいいですか。【青葉城西】

2.疑問 ページ3

｢おつかれー｣






『はいお疲れ様』








暑苦しい部活の始まり。
強豪のくせになぜかマネージャーのいないこのバレー部にせっせと働くこの異端は私、前原A。









ただの手伝い。毎日なんて来ないけれど、週に3回は来ている。









中途半端に存在している私に、なぜマネージャーじゃないのかなんて疑う者なんていなかった。









｢うん。やっぱAのドリンクおいしい｣







『そう？ありがとう』







疑問に思っている事がある。








なぜ、この人たちは諦めることを知らないのか。








手伝い、そうは言っても大会には毎回行ってるしみんなのケアもしている。









大会では惜しいところでいつも負けている。
強豪、白鳥沢に。









どんなに強くても上には上がいるって、わかってるのに、なんでそこまで必死なれるんだろう。









国見に聞いて見ても、｢さぁ？｣って一言だけ。








わからないよ。








私はそれだけがわからなかった。








好きだから。そんな理由でこんなにも一生懸命になれるなんて私は思わない。









人それぞれ、なんだろうけど私にはどうしても理解が出来なかった。








｢なんか悩み？｣








『……』








及川が私の顔をのぞき込む。









言ってもいいのか。いや、ダメだって分かってる。
言ってしまったら、この心地いい関係も崩れ去ってしまうって気づいてる。







悩み事をすると、いつも無意識に下を向いてしまう私の顔をのぞき込んで心配そうに見る及川を私は。








『なんでそこまで、必死になれるの』








ただの疑問なんです。









笑い飛ばしてくれていいんです。









お願い。だから、真面目に答えないで。









｢なんでって……本気でそう思ってるからだよ｣









足元しか見えない私の耳に入ってきたその言葉がずどんと落ちてきた。









いつもより低い声。









見えないからわからない顔。









ほんと、わかんない。

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