下を向いてもいいですか。【青葉城西】

16.答えをくれない ページ17

｢あ、｣






昼休み、あの4人からの昼食の誘いからようやく逃げた私は国見と遭遇した。






国見は案外気にしてなさそうだから安心して私は国見の顔を見た。








｢なんだ。案外平気そうなんですね｣








真顔でそう言い放った国見。なぜか無意識に手を握っていた。








平気じゃない。








でも国見には平気に見えてる。








いい事じゃないか。








感情を表に出さないってことは人としていい事だ。









他人に不愉快にせずに好感度だけあがる。









『手伝いだけだったからね。及川が言ってたよ。次の代でマネージャー募集させるって』








｢知ってます。聞きました。｣








相変わらず冷たいのは変わってない。まぁ、それもそうか。







『ほら、私のいない時とかあったでしょ。その時と同じようにすればいいよ。』







これでいいんだよ。







国見の顔が、見れなくなってきた。








また私の目線は地面。








｢前原さん、誰と話してるんですか｣









国見の声だけが聞こえてくる。








そりゃあ、国見と今話してるじゃん。








｢前原さんってなにかあればすぐに下向きますよね｣








思わず顔を上げた。






バレていた。








何か言いたいことでもあるんでしょうか。








私の口からは何も出ずに、ただ国見の言葉を待っていた。








｢言いたかったのはそれだけです、買い物邪魔してすみません｣









ぺこり、と小さく頭を下げて教室へと戻って行く国見。








なんでみんな。









最後まで答えをくれないのでしょうか。

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