下を向いてもいいですか。【青葉城西】

1.かたり ページ2

かたり、







その時、何かが落ちたんです。








でも、何かわからなかったんです。








なんだろうと近づいても近づけない。








それどころかどんどん、どんどん遠のいていくんです。








あ、







やっと追いついた。








そう思ったら、急に床が崩れて私はそこに落ちたんです。









『…………！？！？』









そこで目が、覚めました。








ガタッ！と大きく体がびくついて本当に落ちた感覚がして目が覚めた。








｢なんか夢見たんか？｣








笑いをこらえて私を見ている隣の席の岩泉が私に聞く。しまった。授業中に寝てしまったのか。








よかった。先生にはバレてない。








『……ちょっとね。』









大嫌いな先生の国語の授業。









声も聞きたくないから私はバレないように両肘で顔を支えて寝ている。









たまに夢を見るのだが、体が動いてしまうほどの夢は久しぶりだった。









チャイムがなって号令で授業が終わる。
ため息がチラホラと聞こえていた。









｢そういや今日は？｣








『来てもいいならいくよ。大会近いでしょ？』








マネージャーではない。








部員でもない。








ただの手伝いに行っているだけの中途半端の関係の私。








行き始めたのは２年の初めくらいに、及川率いる今の3年組が私を勧誘してきたのがきっかけだった。








部活に入っていなかった私。







入りたくなかっただけなのだが、マネージャー体験が思ったよりも楽しく、私は及川に｢家の事情で入部することは出来ないけどたまに手伝いに来ることはできるよ｣と









一つの嘘をつきました。








そんなこともつゆ知らずじゃあ頼む、と教科書を準備しながら言う岩泉に頷きながら私も教科書を準備した。








｢なになに？今日A来んの！？｣








『来ちゃダメなら行かないよ』








｢いやいやいや来て！！！｣









いちいちうるさい岩泉の幼なじみ。及川。
実は及川もさっきの授業寝ていた。









わかった行くよ。と言った瞬間にチャイムがなる。10分というのは短いものだ。









あと一時間。頑張れ私。

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